少女から見たイスラーム社会。

 『Wadjda』の主人公は、サウジアラビアの首都、リアドに暮らす12歳の少女。友だちのアブダラと自転車競争がしたい。だから自転車が欲しい。街の雑貨店に入荷したグリーンの自転車を見てから、それを買うことが彼女の夢となり、やがて最大の目的になってゆく。お小遣いを貯め、母にねだり、手製のアクセサリーを学友に売り、密会の橋渡しのバイトをし、でもなかなか目標額には達しない。
  そんな時、学校で、賞金付きのコーラン暗唱コンクールがオーガナイズされる。まったく苦手なコーランだが、ワジダは立候補してコーランの補習授業に出て必死でコーランを覚えるだけでなく、上手に暗唱できるように邁進(まいしん)、ついにコンクールを勝ち抜き、賞金を手にする。しかし…。
 この少女と自転車という一直線でシンプルな物語の中に我々は様々なものを見る。イスラームの世界における女性たち。女が自転車に乗るなんてとんでもないという声も聞こえる。仕事をもつ母、不在がちな父の娘への愛情表現、学校の女校長は戒律を重んじ、お転婆娘のワジダに目を光らせる。学校の休み時間、校庭から隣の工事現場で働く男性の姿が見えると身を隠す女生徒たち。そんな彼女たちの関心事はおしゃれ、内緒でペディキュアしているところを見つかっておとがめを受ける。やがて父は二人目の妻をめとり家を出ていく。残された母と娘の絆…。
 私たちはイスラームの世界に生きる人々のことをどのくらい知っているのだろう? イスラーム過激派の蛮行で、とかくネガティブなイメージを抱きがちな彼らを内側から、12歳の少女ワジダに託して描いた作品だ。監督は、サウジアラビア初の女性監督ハイファ・アル・マンスール。ワジダの姿にイスラーム社会の未来をつなぎたい。(吉)

Wadjda



 

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