「命が助かっただけでも…」 と説得された。

 在仏12年、南仏で家族が経営するシャトーホテルを手伝うかたわらフランス語講師をしている友人の彩子さんが、不幸にも事故に遭ってしまった。いろいろ話を伺ったので、今回はその体験談をレポートしたい。
 「私の住むイエール市は車がないと生活ができないので、渡仏してすぐに車を購入。保険は料金の安さからTous risques(全補償型)を選ばずAu tiers(一部補償型)を選びました」
 「ある日、高速道路の出口付近で真正面に逆走車が見えたので、運転していた夫は急停止。クラクションを鳴らしパッシングをしたものの正面衝突してしまいました。すぐに警察に電話をしたのですが、車を出た相手がどこかに歩いていくのが見えて…後続車の男性が『逃げる気だ!』と叫ぶので、走ってつかまえましたが、『忘れ物がある、トイレへ行きたい』と言い再度逃亡したので、二人がかりで取り押さえました。警察は到着と同時にその男を連行し、私は妊婦だったので救急車が呼ばれ(妊婦が事故に遭った際には、痛みがなくても一日以上検査入院+胎児の心電図測定が義務づけられている)幸い異常はありませんでしたが、衝撃がもう少し大きかったらと思うとぞっとしました。ちなみに主人は軽傷」
 「警察によると相手は無免許で、泥酔状態の飲酒運転だったために、車線を間違えたとのこと。車は他人名義で保険未加入、事故後逃亡未遂は同様の前科があるというツワモノで、当然起訴され刑罰を受けました。ところが、民事訴訟は、弁護士に払う費用だけでも膨大で、勝訴は当然だろうが当の本人には払う経済的余裕がない、命が助かっただけでもよいじゃないか、と〈交通事故被害者の会〉に説得されて断念。救急車や検査入院費は保険で支払われましたが、車は修理代がわずかしか出ず廃車になりました」
 こんな話を聞きながら、洋の東西を問わず、運転する限り常に最悪の事態を想定しなければいけないと、身の引き締まる思いだった。(和)

 

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