肖像画が素晴らしい。

 ベルギー王立美術館に所蔵されているバロック期のフランドルの主要な画家たちを網羅した展覧会だ。小ぢんまりしているが、面白い作品がいくつかある。歴史画、肖像画、風俗画、風景画、静物画と、ジャンル別に展示してある。中でも素晴らしいのが肖像画だ。 
 ルーベンスとコルネリス・フォン・フォスによる『ネーデルラント総督アルブレヒト大公  Portrait de l’archiduc Albert』は、燃えるような瞳を持つモデルの緊張が隅々まで行きわたった絵だ。威厳のあるまなざしを投げかけているのは妻の『イザベラ・クララ・エウヘニア大公妃の肖像 Portrait de l’archiduchesse Isabelle Claire Eugénie』。二人はイザベラの父でスペイン王のフェリペ2世から、スペイン領南ネーデルラントの統治を任された。夫妻の共同統治時代(1598-1621)はフランドル・バロック文化が花咲いた黄金時代。
 しかし、それよりも素晴らしいのはヴァン・ダイクの2作品だ。『アレクサンドル・デッラ・ファイユの肖像 Portrait d’Alexandre della Faille』のモデルは、アントウェルペンの行政官。黒い衣装が、小さなボタンに至るまで黒の濃淡で描き分けられている。遠くを見ているようだが決して夢見ているのではない瞳、右手でしっかり左手をつかんでいるポーズから、慎重な性格がうかがえる。もう一点の『イエズス会神父ジャン=シャルル・デッラ・ファイユPortrait du père Jean Charles della Faille』は、意思が強く快活、知的でやさしい教育者だ。この人を見ていると気分が晴れやかになる。手にしたコンパスと地球儀が、科学者であることを示している。
 風俗画の中では、ヨルダーンスの『飲む王様 Le roi qui boit』が面白い。グラスを手にした王の周りには、泣く子を膝に乗せてその尻を拭く女、吐きながらつぼから酒をこぼしている男などがいる。きれいな絵画では考えられない、驚くべき猥雑(わいざつ)さだ。
 幻想的な美しさの風景画はポール・ブリルの『港Le Port』。地中海の岸壁の海岸に帆を落とした船が停泊している。遠くの海の光、横付けなのにマストが正面を向いている不思議な船が、この絵の非現実的な魅力を作り出している。(羽)
Musée Marmottan Monet : 2 rue Louis Boilly 16e
月休。2013年2月3日迄。
写真:Antoine van Dyck (1599-1641) 
Portrait du Père Jean Charles della Faille, S.-J.
Musées Royaux des Beaux-Arts de Belgique, Bruxelles
© J.Geleyns 

Rubens, Van Dyck, Jordaens et les autres



 

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