億万長者の悩み。

9月9日付パリジャン紙。

9月9日付パリジャン紙。

 

 ベルギー日刊紙ル・リーブル・ベルジック(9/8付)が、フランス一、世界4番目の億万長者ベルナール・アルノー氏(ルイ・ヴィトン他のブランド、新聞・雑誌、最高級ワインのシャトーなど60社余所有のLVMHグループ最高責任者)が昨年11月、ベルギー国籍取得の申請をしたと報道。

 左派政界人から庶民まで「税金逃れの売国的行為 ! 」とあ然とし、リベラシオン紙(9/10付)などは、彼の写真(前号3頁)を表紙に載せ「失せろ、富豪野郎!」(サルコジ前大統領が彼との握手を拒否した農業従事者に放った「バカ野郎!」をもじる)と大見出し。この侮辱的報道に怒りアルノー氏は提訴の構え。翌日同紙は表紙に「戻ってくれば何もなかったことに」(前大統領が不倫のセシリア前夫人に送ったSMS)となだめる。ベルギーの中層以上は所得の50%課税されており、隣国の富豪たちを低税率で迎え入れる自国政府の寛大さに憤り、9月15日、市民約8千人が抗議デモ。
 オランド大統領の公約「年収100万ユーロ(1億円)以上の超過分に75%課税」の対象となるのは2、3千世帯だが一般市民は共鳴した。しかし数百万、数千万ユーロを得ている大企業主やサッカー選手、芸能人ら(アラン・ドロン、アズナブールらはスイス、ジョニー・アリディは07年にベルギー国籍取得、銀行口座はスイスに)はすでに隣国に移住。ベルギーには富裕税がなく株増価は免税、資産・相続・贈与税が低率なので、フランスからの金持ちの年金生活者を含め富豪ら約5千人が移住。大革命時に貴族らが国外に逃れたように彼らは左派政権を恐れ、年間約800人が離国。アルノー氏は1981年ミッテラン政権時に3年間米国に移住した。慈善事業に巨額資産を投じるビル・ゲイツには不可解なフランス人億万長者らのあがき?
 フランス北部で建設業により富をなした父親をもつアルノー氏はベルギーの国境に近いルベ市生まれ。長年のベルギー人親友、アルベール・フレール氏とは億万長者同士。ワインの数シャトー他、数企業を共同経営し、アルノー氏はベルギーで共同プロジェクトの遂行のため国籍取得を申請したと弁明。が、リベラシオン紙(9/14)によれば、アルノー氏(まだ63歳)は死後、直系相続人(先妻との間に子供5人、後妻とは3 人、計8人)への相続遺産保存のために、08年12月、個人資産を管理する「プロテクトインヴェスト」という財団を設立。09年に株式2億4千万ユーロ相当、昨年には株式約30億ユーロ相当を財団に移譲し、着々と巨額資産の保全工作を進めている。が、ベルギーの相続税30%(フランスは45%)にあやかるためにベルギー国籍を得る必要はなく3年在住すればベルギー人と同等に。子供への生前贈与税は、彼らも移住すればたったの3% ! 
 75 %課税を富裕層追い出し税制と危惧する左派議員もおり、オランド大統領は、共稼ぎなら課税対象額を200万ユーロ以上に引き上げ、一般社会税 CSGなども含めれば75%でなく67%に下がり、施行期間も緊縮期2年のみ、課税は就労収入のみで金利や配当金などは除外するなど、富裕層の不安を静めるのに懸命。が、大統領が言い出しっぺの75%税は引っ込めるわけにはいかない。富豪らにスズメの涙でもいいから愛国的貢献をとすがっても彼らは聞く耳をもたない。(君)
 

 

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