エヴリーヌ・ブロック=ダノさんにインタビュー。
サンドを知る入門本としておすすめなのが、『Le dernier amour de George Sand(ジョルジュ・サンドの最後の愛)』。パリ郊外に住む著者をたずねて話をうかがった。
この本を書くきっかけは?
まず、思春期の頃からジョルジュ・サンドは私にとって賞賛の的で、好奇心を刺激されてきたということがあります。ある時、サンドと版画家のモンソーとの関係について読むことがあって、ミュッセやショパンとの恋愛については知られているのに、この版画家のことは何も知ら れてないことに気付いたのです。そして、サンドの成熟期と重なる、彼らが一緒に過ごした15年ほどの期間を軸にした伝記を書くことになりました。とはいっても、ふたりの出会い以前のことにももちろん触れています。サンドはフランスでとても有名な人物ですが、表面的なイメージだけで、細かいことは知らない人も多いんですよ。この本の出版に合わせて、フランス各地で多くの読者に会いましたが、今までサンドを読んだことがなかった女性たちが、「サンドは私そのものです」、「彼女は私のアイドル」、などと言ってきたのには驚いてしまいました。
ジョルジュ・サンドをひと言で表現すると?
「自由」です。サンドは若い時に多くの男性と恋愛を重ねましたが、遅ればせながら彼女が出会い、パートナーとして選んだのがマンソーでした。サンドは、その時期の彼女にとって必要だった「書く自由」を認めてくれる相手を選んだのです。マンソーは、サンドを近くで見守って寄りそうと同時に、サンドが彼女自身であることを許しました。サンドを作家として尊敬し、そのあるがままを受け入れたのです。その様子は、その時代の男性作家たちのパートナー、たとえばゾラの伴侶であるアレクサンドリーヌを思わせるところがあり、興味深く思います。
サンドを知るのにおすすめで、読みやすい本は?
田園小説の『Mare au Diable』などは短くてフランス語初級者にも読みやすいと思います。ショパンとの恋愛にインスピレーションを受けた『Lucrezia Floriani』はとてもロマンチック。ストーリー性があって楽しめるのは『Mauprat』。もちろん処女作の『Indiana』もお忘れなく。更に興味を持った方は、『Histoire de ma vie』や『Lettres d’une vie』も是非お手にとってみてください。
※30年間高校で国語教師として生徒たちを導いてきたブロック=ダノさん。現在は作家・批評家として活躍している。
Grasset社刊、21€。