ベリー地方にそのまま残っている、サンドの日常生活…。
パリで生まれ、旅をこよなく愛したサンドだが、彼女が一番長い時間を過ごしたのは自然豊かなベリー地方だった。17歳のときにこの地の城館を祖母から受け継いだサンドは、250ヘクタールの敷地をとりしきる城主となる。サンドは、ここで女性として、作家として、また、敷地内の3つの農場を切り盛りする経営者として、慌ただしくも充実した時間を過ごした。
この城館は、Centre des monuments nationaux(国立モニュメントセンター)の管理のもと当時のまま残されており、ガイドと一緒に見学することができる。18世紀に建てられた城館には、オリジナルの家具や寝具、ランプシェードなどが残り、それらが丁寧に修復されて良い状態を保っているのには目を見張る。水色やピンクで彩られたロココ風シャンデリアが下がっているサロンは、特に優雅な空間。ショパンから贈られたというヴォージュ地方の繊細なグラスが、誇らしげに食卓を飾る。 地上階にある台所、食堂、サロンには見学を制限するロープや仕切りなどが一切なく、当時の作家の毎日の生活をダイレクトに感じることができる。
© David Bordes – CMN Paris
敷地内にある、 サンド親族12人が眠る 小ぢんまりとした墓地。 サンドの墓もここにある。
ノアンが誇るサン・マルタン教会。 内部には見事なフレスコ画があり、 歴史建造物に指定されている。