Madame Grès à La couture à l’œuvre
彫刻家アントワーヌ・ブールデル美術館で開催中のファッションデザイナー、マダム・グレの展覧会に娘と出かけてみる。
本名はジェルメーヌ=エミリー・クレブス、後にアリックス・グレス、そして自分のメゾンを築いてからはマダム・グレという名で知られた女性は、もともと彫刻家になりたかったのだという。「布を彫刻するのも石を彫刻するのも同じこと」だと本人が言うように、彼女が生み出すドレスのひだからは「織り込まれた」というよりも「彫り込まれた」という印象を受ける。
ブールデルのアトリエや住まいだったスペースも含め、常設展の中にマダム・グレの作品がここ、そこ、と置かれている。
「一着のドレスが時代を超えて生き続けるためには、そのドレスが純正さを帯びていなければならない」。この言葉どおり、マダム・グレのドレスには時代が感じられない。すごい! とうなってしまうほど単純でありながら美しいラインのドレスたちに、娘と二人で「これ、すてき!」「これ、着たい!」とはしゃいでしまう。ドレープのあるドレスの脇にある、ブールデルが彫刻したやはりドレープのあるドレスを着た女性の像を見て「ちょっと太っちょだけれど、似たドレスだね」と娘。平面に描かれたデザイン画がどうやって立体化されていくか。その課程がまさに彫刻という作業なのだと娘と話し合う。
身長150センチと小柄だったマダム・グレは、ココ・シャネルのように自らの作品を身につけなかった、という。見事な流線型を描く夜会服などはたしかに大柄な女性のほうが似合いそうだけれど、デイドレスなら小柄な女性でも大丈夫、と小柄な母娘は話し合い、少し安心したのだった。(海)
7月24日迄(月休)。火-日10-18h。
3.5€-7€(13歳以下は無料)。
Musée Bourdelle
Adresse : 18 rue Antoine Bourdelle, 75015 parisTEL : 01.4954.7373
URL : www.parismusees.com/madame-gres/