6月11日福島連帯国際行動デーへ
3月11日に起きた大震災とそれに続く福島第一原発事故は、日本と並んで原発大国はどのように事態を受け止めたのだろう。歴史的にまれに見る震災であったことは確かだが、過去に例証がなかったわけではない。その意味では「想定外」ではなかったはずの地震によって、あっけなく四つの原子炉が次から次へと爆発した空前の事故は仏原子力ロビーを震撼(しんかん)させた。そして最新の情報では1号機から3号機まで「メルトダウン」しているという。当初、環境相コシスコ・モリゼは慌てて「原子力はよいエネルギー、今回の事故はフランスの原発の安全性をいっそう改善することになる」と表明し、アレヴァ会長ローベルジョンは、事故三日後に「あれは大事故ではない」と表明したことで逆に内部の動揺が透視できる。フィヨン、ベッソンら政府閣僚の「福島の事故はチェルノブイリとはまったく関係ない、事故が起きたのは地震と津波のせいだ」として、地震の少ないフランスは大丈夫だ、また新しい欧州新型炉は、最高の安全性を誇るなどと、まだ完成もしていない原子炉の宣伝を大統領は行った。こうして、当初、仏政府はフランスの原子力産業を守るのに躍起だったが、事故が次第に明るみに出てくるに及んで,論調を変更していかざるを得なくなった。フランスにとって、原子力産業は国策であり、最重要な輸出品目の一つである。またこれはまぎれもなくフランスの核抑止力と結びついている。日本もこの構造と似ている。まだ核兵器を持っていない日本は持ちたいのだ。
フランスの原子力は核兵器製造が出発点であり、70年代から民事利用の原子力発電所が建設され始めた。左派系でも科学の進歩を信じるあまり、民事利用の原子力に反対する勢力は,伝統的に少なかった。社会党党首マルチーヌ・オーブリは、原発のモラトリアムを求めていたが、脱原発を初めて表明し、早期の安全検査の実施を求めた。緑の党が行った世論調査によると、30%が原発の継続を求め、51%が25〜30年内の脱原発を支持し、19%が早期の停止。原子力推進派のなかで65歳以上が47%であり、パリ市民は35%と、もっとも原子力支持派が集まっているという点では,東京と似ている。他方、カナール・アンシェネ紙は、大事故時の避難対策がパリには何もないことを暴露した。
ドイツでは、保守系のメルケル首相がもっとも古い原子炉7基を閉鎖すると言明した。ベルギーやオランダも原子力政策を見直す動きが顕在化してきている。最も老化したフェッセンエイム原発の閉鎖を、国境に近いドイツ・フライブルグのエコロジストたちも求めている。
こうした中で、フランスの反核派は福島の事故よって活性化してきた。ドイツほどではないにしろ、緑の政党〈ユーロップ・エコロジー〉は、原子力政策についての国民投票référendumを要求しているし、他のエコロジー派の有力者たちは、国際保健機関の放射能汚染問題に関する正しい判断と情報の公開を要求している。
脱原発団体も動き始め、事故から3カ月目の6月11日に、日本の統一デモと呼応する国際行動デーをおこなう。(Kolin)
*6・11国際行動デーは14h 30、Place de la République出発 。