エスカベーシュ(南蛮漬け)というとアジというのがオーソドックスだが、今回はちょっとヒゴイを思わせるヒメジrouget barbetで作ってみた。
タマネギは皮をむいて二つに切り分けてから薄く輪切りにする。ニンジンは皮をむいてから5センチ幅に切り、それをできるだけ細いせん切りにする。
ヒメジは頭を切り落とし、はらわたを取り出してさっと洗い、水気をぬぐってから両面にしっかりと塩、コショウし、軽く小麦粉をまぶす。大きめのフライパンにオリーブ油を大さじ6杯ほど入れ中火にかける。これがすっかり熱くなったら、ヒメジをなるべく重ならないように並べる。5分ほどできれいな焼き色がついたら、身がこわれないように丁寧にひっくり返す。そしてもう5分。フライパンは、テフロン樹脂加工などのくっつかないものがあると作業がぐんと楽。焼き上がった魚を、フライ返しなどを使って丁寧に取り出し、大きい陶製のグラタン皿などに並べていく。
魚を焼くのに使ったフライパンは洗わずに、そこへオリーブ油を80ccほど足す。そこへニンジンを入れ、しんなりするまで炒めたら、タマネギ、二つに割ってから押しつぶしたニンニク、めん棒などでつぶしたコショウとコリアンダーの粒を加え、もう5分ほど火を通す。ここで、シェリー酒ビネガー、白ワイン、ブーケ・ガルニ(長ネギ+タイム+ローリエ+バジリコの茎)、種をとって小口切りにした小さな赤唐辛子、砂糖ひとつまみを入れ、塩、コショウで味を調える。数分沸騰させたら、野菜、ブーケ・ガルニ、香辛料ともども、魚の上から注ぐ。野菜をまんべんなく散らすようにします。すっかり冷めたらラップで覆って冷蔵庫へ。
おいしく食べるためには少なくとも一日待つこと! 食べる1時間前に冷蔵庫から出し、きざんだバジリコを散らして食卓へ。ワインはきりっと冷やした南仏のロゼ。(真)
4人分:小さめのヒメジ1キロ、タマネギ1個、ニンジン2本、ニンニク2片、小さな唐辛子1本、バジリコ、シェリー酒ビネガー80cc、白ワイン80cc 、ブーケ・ガルニ、オリーブ油、コショウとコリアンダー15粒ずつ、塩、コショウ、砂糖
●escabèche
アジやイワシなどの小魚を揚げてから、火を通した野菜入りのマリナードを、魚が熱いうちに注ぎかける調理法がエスカベーシュ。語源はスペイン語のエスカベチェ。そう、南蛮漬けのもとになった調理法です。保存もきいて、冷蔵庫に入れれば、1週間くらい大丈夫。ビネガーの酸味と唐辛子の辛味がきいて暑くなるとおいしさが増す。