3月11日に発生した東日本大震災は、日本はもちろん世界中の人々を震撼(しんかん)させた。海外に暮らす日本人は、遠く離れた家族や友人、知人の
安否を気遣い、被災地のことを思い、落ち着かない日々を送っている。そんな中、「悲しんでいるだけでなく、どうにか日本へ気持ちを伝えたい」と早々に立ち
あがったのが、仙台の姉妹都市であるブルターニュの中心都市、レンヌに住む留学生たちだ。仙台や日本の被災地を援助するための会〈Entre Aide
Rennes pour
Sendaï〉が発足したのは3月16日。レンヌ市などの協力を得て、19日と26日に市庁舎前で募金活動を行った。中心メンバーは、レンヌ第2大学付属
の語学学校でフランス語を学んでいる日本人留学生。そこに、仙台に行ったことのあるフランス人学生はもちろん、中国人や韓国人、アメリカ人などの留学生が
加わった。中国人留学生のインハオ君は「一刻も早く原発の問題が解決して、日本国民に日常生活が戻ってくることを祈っている。過去にもそうであったよう
に、日本人は勇気を持って必ず困難を乗り越えると信じている」と語ってくれた。
募金活動についての情報は、レンヌ第1・第2大学の全生徒への
メールやビラ配りを通して告知。現地のテレビやラジオなどにとりあげられたこともあり、市庁舎前には多くの人々が足を運んだ。この機会に、レンヌが誇る
ショコラティエ〈Le
Daniel〉のシェフパティシエは抹茶やチョコレート風味のマフィンを、和食レストランの〈FUJI〉はほうじ茶やおかきを、ブルターニュ特産品輸出会
社の〈Bretagne
Gourmet〉は塩キャラメルなどをそれぞれ提供し、活動を力強く後押しした。2日間で集められた3万ユーロの募金は、レンヌ市から仙台市へと届けられ
る。
訪れたフランス人からは「被災地の人を自宅に受け入れたいけれどどうしたらいい?」、「私は看護師なのだが、現地に受け入れ態勢は?」など
という質問も寄せられた。また、「パニックを起こすことなく、慎み深く冷静に行動する日本人の姿に心を打たれた。世界にとってこれはよい教訓になる」と、
日本人の静かな対応に敬意を示す人も多く見られた。(さ)