フランス全国の19カ所に原子力発電所centrales
nucléairesがあり、58基の原子炉réacteursが稼動している。原子炉の数では米国の104基に次ぐが、フランス国内で消費される電力の
74.4%を占め、原発への依存度では日本の28%、ドイツの23%、米国の19%を大きく引き離す。フランスの電源は他に、水力発電所
centrales hydrauliquesが12.1%、火力発電所centrales
thermiquesが11.6%。それに引き換え、風力エネルギーénergie éolienneや太陽光エネルギーénergie
photovoltaïqueによるエコ電力はわずか1.9%しか占めていなく、ドイツの6.6%に遅れをとる。そういえば年中太陽に恵まれている南仏で
も、ソーラーパネルpanneau solaire photovoltaïqueがほとんど見当たらない。
与党UMPも社会党も原子力発電の
開発に積極的で、現在、ノルマンディー地方マンシュ県のコタンタン半島に位置するフラマンヴィルFlamanvilleに、新しいタイプの原子炉とみなさ
れている加圧水型原子炉EPR(European Pressurized
Reactor)を建設中。このコタンタン半島のラ・アーグ岬近くには、フランスだけでなく各国の原発から送られてくる使用済み燃料
combustible utiliséの再処理工場Usine de retraitement de La
Hagueがある。1979年に国外から初めて到着した使用済み核燃料は日本からのものだった。最終的に再利用不可能な放射性廃棄物déchet
radioactifは送られてきた国に戻されるのだが、輸送中の事故なりテロ攻撃の恐れが問題になっている。ここで取り出されたプルトニウム
plutoniumは、南仏ガール県マルクールMarcouleの原子力施設site
nucléaireに輸送され、モックス核燃料moxが生産される。これらの工場の運営管理を行っている原子力産業がアレヴァ社AREVA。青森県六ヶ所
村の再処理工場は、このアレヴァ社の技術協力を受けている。
現在フランスで稼動中の原発の中で一番古いものは、アルザス地方のミュルーズ市に近
いフェッセンハイムFessenhaimにあるものだ。1970年から建設され、1977年に発電を開始した。3月20日、原発から10数キロ離れたライ
ン川の中州で、「日本の市民たちと連帯しながら」というメッセージのもとに、フェッセンハイムの即時廃炉を要求するデモがあった。フランスでは建設されて
から30年以上経った原発がかなりの数あり、その老朽化に伴う事故が増えている。Criirad(Commission de recherche
et d’information indépendantes sur la radioactivité
放射能に関する独立調査・情報委員会)によれば、小さな事故も含めると年1000件近いという。10年ごとにこうした原発を継続するかどうかの許可を出す
のがASN(Autorité de sûreté nucléaire 原子力安全局)だ。
福島原発からもれた放射能
radioactivité
がフランスまで飛来してきているが、放射能を測定して人体に影響があるかどうかを判断し、それに関する情報を国民に伝える機関が
IRSN(Institut de Radioprotection et de Sûreté Nucléaire
放射能保護・原子力安全研究所)。(真)