カナダ、トロント市の郊外にある友人宅に2週間滞在した。到着した日の晩ごはんは、ご主人が庭にあるバーベキューで焼いてくれた大きなハンバーグで、ハンバーガーパーティー。トマトやコルニションなども好みで挟んで、ケチャップやマスタード、甘酸っぱいグリーンソースなどで味付けしてぱくつくわけだ。このハンバーガーはどこのレストランでも一番人気で、それについてくるコールスローがうまい。翌日、市内のセントローレンス市場に出かけてみたら、やはり肉が安い。柔らかそうなサーロインが1ポンド8ドル前後(キロ13ユーロ!)。飼育野牛のステーキも味わった。それほど臭くなく、ワインソースとの相性もよかったが、かなり寝かせて柔らかくした肉だったのだろう、痛風が出た!
魚屋に並ぶのは、ほとんどが冷凍ものの魚やエビでガッカリしたが、クラムが安い! 買ってきて殻をこじ開け、レモンを搾りかけて口に入れると、こりこりとした歯ごたえ、かすかな甘み。海のように大きいオンタリオ湖のど真ん中に船で乗り出し、みんなでルアー釣りをしたら、7.5キロと5キロのニジマスが釣れた。さっそくおろしてみると、薄いサーモンピンクの身で、焼いてみたら、脂っこくも淡水魚特有の臭みもなく、淡白なおいしさ。生を、寄生虫が心配だったのでちょっとだけ、レモンと塩の華で味わった。
もう一つ忘れられない味はスイートコーン。どれも穫り立てに違いなく、その柔らかさ、甘さは、子供時代に農家の人が売りにきたトウモロコシの味を上回るほどで、軽く2本がおなかにおさまった。
トロント市が属するオンタリオ州のワインがまたいい。気候が適しているのだろう、ボルドーやブルゴーニュの名酒に匹敵するものがある。ワインというと、ついつい愛国心を発揮するフランス人にぜひ飲んでもらいたい。ナイアガラの滝に近いところに、ワイン畑が並び、メルロ、カベルネ、シラー、ピノ・ノワールといったフランスでもおなじみの品種が栽培されているが、バコ・ノワールという北米特有のブドウから造られる赤ワインのファンになってしまった。(真)