●ルペン氏、FN党首を来年引退
ジャン=マリー・ルペン国民戦線党(FN)党首は4月12日、2011年1月15?16日のFN全国大会で党首後継者が正式に任命されると明らかにした。党首を38年間務めたルペン氏(81)は引退後、名誉党首に就任し、欧州議会議員、地域圏議会議員としての活動は継続する予定。後継者候補はルペン氏の三女マリーヌ・ルペン(41)、ブリュノ・ゴルニッシュ(60)両副党首で、党員の投票によって選ばれ、新党首は2012年の大統領選挙に出馬する。
●150の医薬品の払い戻し率が15%に
150の医薬品の払い戻し率が35%から15%に下がることが4月16日付官報に掲載された(同日から実施)。抗ウイルス剤〈Zovirax〉、抗炎症剤〈Feldene〉、鼻づまりの薬〈Rhinadvil〉など保健当局によって効果不十分と判断された医薬品が対象。相互保険会社(ミュチュエル)はこの払い戻し率引き下げを一斉に批判。一方、サルコジ大統領は同日、一般開業医の基本診察料を2011年1月から23ユーロに値上げ(現行22ユーロ)すると発表した。この値上げを求めて、開業医は4月上旬にストを実施していた。
●〈顔をおおうスカーフ〉禁止法、夏に成立か
政府は4月21日の閣議で、目以外の顔全体をおおう女性イスラム教徒の衣装の着用を禁止する法案を近く国会に提出し、夏前に成立させるスピード審議方法を取る方針を決めた。5月12日の閣議に提出、6月末に国会で審議され、今会期が終了する7月20日までに成立させる予定。サルコジ大統領は「できる限り広い範囲での禁止」を求めているが、国務院は、全面的禁止は司法上問題があるとし、顔の確認が必要な公共サービスなどに禁止の範囲を明確に限定するよう3月末に政府に勧告した。禁止法は与党内でも反対の声があり、上院・国民議会の両議長はスピード審議に反対している。
●火山灰でフランスの空港も6日間閉鎖
アイスランドの火山噴火による火山灰到来のため欧州の多数の空港が閉鎖されるなか、フランスでもロワシー=シャルル・ドゴール、オルリーを含む北部20の空港で4月15日から20日まで一部の便を除いてほぼ欠航となった。21日から国内全空港が運航を再開し、長距離便は100%、中距離便は75%が運航。欠航によって世界の航空会社全体で12億6千万ユーロの損失が出た。外務省によると、帰国できなくなったフランス人は25日時点で約1万人おり、政府は22日、滞在費や帰国便の費用を払えない人に現地領事館を通じて総額百万ユーロの貸与支援をするとした。
●フランス国鉄のスト、2週間続く
4月6日から続いていたフランス国鉄(SNCF)のストは、労使交渉の5月中旬再開で打開し、22日に2週間ぶりにほぼ平常運行に戻った。この間、ユーロスターなど国際列車や超高速列車(TGV)の東部線、北線、大西洋線は平常運転だったものの、TGVの南東線、南部線は83%、地方列車は57%?78%、パリ首都圏の列車は90%程度しか運行しなかった。とくに、ミディ・ピレネー、ローヌ・アルプ地方でストが長引いた。このストは、SNCFの主要労組(CGT、SUD-Rail)が雇用削減や貨物部門などの再編に抗議して行ったもの。政府は、空港閉鎖と重なったこの時期の長期間のストを厳しく批判した。
●ニカブ着用の女性ドライバーに罰金
ナント市で、ニカブ(目以外の顔全体をおおうスカーフ)を着用して車を運転していたフランス人女性に、4月初め罰金22ユーロが科されたことが4月23日付各紙で報じられ、問題になっている。警察はニカブの着用によって視野が狭められていたからと主張。女性は罰金の支払いを拒否しており、この件は裁判に持ち込まれる。さらに、オルトフ内相が同日、この女性の夫が複数の妻を持っており、単親手当を不当に受給したとして、フランス国籍の剥奪を求める書簡をベッソン移民相に送ったことがわかった。内相は、この夫は婚姻によってフランス国籍を取得したイスラム教急進派グループに属するアルジェリア人で、4人の妻と12人の子供がおり、4人の妻は単親手当を受給していると主張している。しかし、この事実が証明されても、国籍剥奪は法的に困難との見方もある。イスラム社会や与党らは反発しており、政治的議論に発展。