イサドラは、自然を 唯一の教師とみなした。

“Isadora Duncan, une sculpture vivante”

 モダンダンスの祖で、当時の慣習に反して素足で踊ったことから「素足のイサドラ」とあだ名されたイサドラ・ダンカン(1877-1927)の生涯を追った珍しい展覧会が開かれている。心と体の関係や、精神世界に関心がある人にもすすめたい。
 サンフランシスコで生まれたイサドラは、母から音楽を習い、姉や兄たちとボヘミアン的な生活を送った。その後イギリス、そしてパリに渡り、自由で革新的なダンスで評判を得た。ゆったりとした古代ギリシャ風の衣装を身につけ、裸足で一人で踊る。伝統的なバレエのステップはない。大英博物館やルーヴルに通い、古代ギリシャ人の動きからインスピレーションを得た。
 この展覧会では、踊るイサドラを描いたブールデル、ロダン、スゴンザックら美術家のデッサン150点、そしてスタイケンらによる当時の写真100点が展示されている。伝説的なイサドラのダンスは、数分間の短い映画で見られる。トランス状態になったシャーマンのような彼女の踊り、デッサン、公演カタログや雑誌の記事を見ていると、イサドラの踊りの概要が浮かび上がってくる。
 興味深いのは、エジプトやアジアの踊りを芸術的な最古の踊りと認めながらも、自分たちの人種のものではないから、自分たちの踊りの源であるギリシャに踊りの原点を見出すべきだ、と考えていたことだ。 
 とはいえ、画家たちが残したデッサンには、西洋的ではない動きや姿勢がたくさんある。「身体を通して大地のエネルギーを伝えるのが、本当の踊りだ」と言うイサドラには、あらゆる文化のシャーマンが持っている特質がある。それは、アニミスム的でもある。西洋人の踊りの源を探るうちに、西洋を飛び越えて、すべての踊りに共通する源流に行き着いてしまった。
 イサドラは、自然を唯一の教師とみなした。木が風にそよいだり、波が立つのを見て、ダンスの構想を得た。自然の中にあるエネルギーに感情を投影して踊る姿が、芸術家たちを捉えたことは想像にかたくない。「ミス・ダンカンは、踊りと生命をひとつにした」とロダンが言うように。(羽)
ブールデル美術館 : 18 rue Antoine Bourdelle 15e
3月14日迄。月休。

José Clará (1878-1958)
Isadora Duncan. La Walkyrie de Wagner
Barcelone, MNAC – Museu Nacional d’Art de Catalunya
MNAC/MC 94091 © Museu Nacional d’Art de Catalunya. Barcelona
Photo: Calveras-Mérida-Sagristà