にぎやかなベルヴィル通りを横道にそれ、ビュットショーモン公園に向かうひっそりした通りの角に突如現れる〈Mon Oncle le Vigneron〉は、ちかさんとパスカルさんの日仏カップルが経営する家庭的な「ターブルドット」形式のレストラン。店内に入った途端、落ち着いた壁の色やアンティークの家具、手作りのテーブルに囲まれ、映画で見たことのあるフランスの昔の一軒家に迷い込んでしまったよう。
まずは白ワインで乾杯。キツネのイラストをあしらったキュートなラベルは、ドイツ産リースリング。パスカルさんのおじさんが製造をはじめたワインとか。なるほど、店名〈Mon Oncle le Vigneron〉はここからきている。
前菜は、ヤギのフレッシュチーズのオリーブオイルづけ。クレタ島産オリーブオイルとエスプレット唐辛子、赤ピーマンがクリーミーなチーズと口の中でふんわりまざり、パンがどんどんすすむ。友人がとったバスク産のソーシソン盛り合わせも美味。
本日のメインは豚肉の煮込み。有名なアジャン産のプルーンの甘みとシソの芳香が胃にやさしく溶け込む。「軽めですが今日のメインと合いますよ」とちかさんがすすめてくれたリースリングの赤と一緒に。デザートはふわふわのマスカルポーネに抹茶がふんだんに使われたティラミスを分けあった。
日本の食材を隠し味でうまく取り入れたり、ちかさんが日本から持ってきた小皿を使ったりと、さりげない日本のテイストが心地よい。ちなみにターブルドット形式なのでメニューはなく、本日おすすめの前菜、メイン、デザートにワインを2人で1本頼んで、1人30ユーロちょっとといった感じです。
店を出る前に入り口正面に大きな古時計がかけてあることに気がつき眺めていると、一瞬フランスでも日本でもない、今でも昔でもない、時空を超えた不思議な場所でご飯を食べたような感覚になり、心地よい気分のまま店をあとにした。(貴)
Mon Oncle le Vigneron
Adresse : 2 rue Pradier, 75019 Paris , FranceTEL : 01.4200.4330
アクセス : M° Pyrénées
日月休。要予約。