フランス生まれの漫画BD主人公の中で最もポピュラーな一人であるアステリックスは、1959年10月29日に発売された新雑誌Piloteと共に誕生したから今年で50歳。作者は〈Le Petit Nicolas〉の生みの親でもあるルネ・ゴシニ(ストーリー)と、アルベール・ユデルゾ(絵)で、ゴシニの没後は、ユデルゾが独りで制作を続け現在に至っている。その50周年を記念した特別展を見にクリュニー美術館の古代ローマ冷浴室へ。入り口には、ゴシニが愛用したタイプライターが展示されている。奥へ進むと、ローマ皇帝シーザーが書いた『ガリア戦記』など、作者たちが参考にした資料などが公開され、アステリックスや太っちょのオベリクスの誕生の秘密がわかるようになっている。
新しい本を制作する際には、ゴシニがまず筋書きをユデルゾに送り、ユデルゾの意見を参考にしながら話を作っていった。面白かったのがこの制作過程を見せる展示で、映画の脚本と同様、左コロンに状況や背景の説明を、右コロンにナレーションや台詞をタイプで打ち込み、その指示通りにユデルゾが描いたページが見られるようになっている。通常コマ割りは漫画、つまり絵を描く人の役割だと思っていたけれど、アステリックスの場合はゴシニがコマ割りまでしていたのだ、と新発見をした気分になる。
ユデルゾのオリジナル版下を見ながら、「ここホワイトで消してるよ!」と娘が発見。鉛筆で描いたデッサンを墨で丁寧になぞる筆づかいに感心する。これまでアステリックスにあまり興味を示さなかった娘だけれど家に戻って早速父親が大切にする古い数冊を取り出し熱心に読み始めた。来年1月3日迄(火休)。8€/6€。(海)
Musée de Cluny-Musée national du Moyen Age : 6 place Paul Painlevé 5e