●ラ・ポスト民営化反対に210万人が投票
ラ・ポストの民営化に反対する労組などが行った市民投票が10月3日までに行われ、民営化反対が210万票、賛成はわずか3万1700票だった。この投票を組織したのは労組、市民団体、野党などからなる組織委員会。この投票は何の法的拘束力も持たないが、2008年7月の憲法改正によって有権者の10分の1(約450万人)が求めれば国民投票が可能になったため、その可能性を模索する目的で実施された。組織委員会は民営化の是非を問う国民投票の実施を求めてサルコジ大統領との会見を要求している。政府はラ・ポストを2010年から株式会社に変更する法案を年内に国会に提出する予定。ただし、株式は100%国が保有するので、政府は民営化ではないとしているが、労組側は将来的に民営化される危惧を抱いている。
●パイロットがAF447事故の報告書作成
6月に起きたエール・フランス(AF)447便事故に関して、速度計〈ピト〉が事故原因とする2人のベテランパイロットによる報告書が10月4日付ジュルナル・デュ・ディマンシュ紙に一部掲載された。この報告書を作成したのは、AFパイロット組合のトップら2人のパイロットで、速度計の交換を早急に進めなかったAFの怠慢を厳しく批判している。報告書は専門家の意見として捜査書類に加えられる。一方、事故原因を調査している調査分析事務所(BEA)は速度計は一要因ではあるが、事故原因ではないとしている。
●性犯罪者の再犯で、「化学的去勢」論浮上
9月28日にエソンヌ県でジョギング中の女性(42)が強姦・殺害された事件を受けて、政府は10月5日、性犯罪者の再犯を防止するため出所後の監視を強化する処置を含む法案を11月半ばに国会に提出することを明らかにした。9月30日に逮捕された容疑者の男性 (47)は、2000年に少女誘拐・強姦罪で11年の懲役刑に処されたが、07年に出所していた。アリオ=マリ法相は性犯罪者の性的衝動を薬で抑制する「化学的去勢」を法案に盛り込む意図を明らかにしているが、与党内でも反対の声がある。
●ツール・ド・フランス、薬物検査に問題か
今年夏のツール・ド・フランスで、国際自転車競技連合(UCI)がアスタナチームに有利な薬物検査を行ったとする仏アンチ・ドーピング機関(AFLD)の報告書を、10月5日付ルモンド紙が報じた。アスタナは優勝したコンタドール選手とアームストロング選手の所属するチーム。同チームの選手には検査をホテルの部屋で実施したり、同連盟の検査官がAFLDメンバーの同行を拒否したりしたという。これに対し、UCIは同日、薬物検査実施に関する規定をすべて遵守していると、真っ向から否定した。
●ポランスキー、米国送還までスイスで収監
チューリッヒ国際映画祭の招待で9月26日にスイスに入国した際に同国警察に逮捕された映画監督ロマン・ポランスキー氏(76)は、米国への送還が決定するまで収監されることになった。10月6日、同国法務省は保釈金支払いによる仮釈放を拒否したと明らかにした。同監督は1977年に米国で13歳の少女への強姦罪で裁判の途中でフランスに逃亡。スイス当局は米国の国際指名手配を受けて逮捕した。逮捕当初は仏映画作家協会や世界の有名映画人が監督の釈放嘆願書に署名するなど監督擁護の声が上がったが、擁護の声は次第に弱まっている。
●FT副社長交代、リストラ緩和策模索
相次ぐ自殺(2008年2月以降24人)が問題になっているフランス・テレコム(FT)は10月5日、ルイ=ピエール・ウェネス副社長の辞任に伴い、ステファン・リシャール氏が後任に就くと発表した。ウェネス氏は労組から「コストキラー」、「恐怖管理を確立した張本人」との非難を受けていた。リシャール新副社長は労使交渉仲介の経験が豊富で、2011年にロンバール会長の後任になることが決まっている。すでに1日にはラガルド経済相とロンバール会長の協議で転勤・異動を年末まで棚上げすることが決まった。6日にはFT会長が、定年退職前3年以内の転勤はさせない、転勤後最低3年間は転勤させないなどの策を明らかに。労働環境改善をめぐる労使交渉は年末まで続く予定だ。