19区の小さなパッサージュの素敵な近代建築の一角に、明るくて広々としたロフト風の部屋にお住まいのジャンさん。彼の楽しみは自宅に友人を招いて大好きな料理をふるまうこと。今年2月に愛娘ヴィオレットちゃんが生まれてからは、さらにその回数が多くなった。大手通信会社勤めだが、本当はビストロ経営をしたいくらい。今のところは自宅で開業…とまではいわないものの、数年前から改装を施し、念願のカフェ風ダイニングが完成した。
主役は修道院で使われていたという横長のテーブル。木のしなびた感と古いグレーのペイントが、モダンな内装にもすんなりとなじんでいる。骨董市で見かけた時、これなら15人ディナーもいけると即決。奥のベンチはテーブルと同じスタイルだが、後で合わせて作られた。インパクトはなんといっても、カフェっぽさをさらに演出する8脚の赤いイスたちだろう。木材に直接ペイントされたオリジナルな絵画は、友人でアーティストのアレクサンドル・ラスキエ氏作。観葉植物の鉢も目のさえるイエローだが、アンティーク以外のすべての家具をこういったカラーにすることで、新と古の絶妙なマリアージュとなるのだ。
次の改装は、部屋の片面にずらりと並ぶ、白で無機質な窓に工夫を加えること。窓枠を鉄素材で囲むか? それともペイントする? 料理もおいしくて、雰囲気もいいからついつい長居してしまう、混むのが嫌だから誰にも教えたくない。そんな究極の隠れ家的カフェを見つけた。(凛)