登場人物が自然体で、 その時折の欲求に従う。 “Le Roi de l’evasion”

 久しぶりにフランス映画の怪作を紹介できる。アラン・ギロディー監督『Le Roi de l’évasion / 逃亡の王様』は何もかもが型破り。まず、メタボ中年男のアルマン(リュドヴィック・ベルティヨ)がヒーローだし、物語は予想もつかない方向に突っ走る、シーンが変わるごとに毎回「えっ?」というような人物が登場して「あれ~?」みたいなことになっていく。
ピレネー付近(多分)の農村地帯で農耕作機のセールスマンをするアルマンが常軌を逸してゆく物語なのだが、背景にあるのは「僕の人生このままでいいんだろうか?」という四十男のクライシス。彼は同性愛者なのだが、ひょんなきっかけで、20歳以上年の離れたピチピチ娘のキュルリー(ハフジア・ヘルジ)と恋に落ちてしまう。この見るからに不釣り合いなカップルを世間が許すわけはなく、キュルリーの父親から警察までが、逃走する二人を追跡するのだが、アルマンが森の土の中から根っこのような強精剤を掘り出して食べると「あら~!」超人的な力が沸いて逃げ切ってしまうのである。そしてアルマンとキュルリーは、しばし幸せな時を森の隠れ家で過ごせるかと思いきや、実は自分がどうしたいのかよく分かってないアルマンは、今度はキュルリーを置き去りにして逃走してしまう。アルマンはもう全然映画のヒーローらしくない。
この映画の面白さは、突き詰めればこれだ。登場人物がみんな自然体で人目を気にしたり、行動する前に考えたりしない。ダイレクトに、その時折の欲求に従う。頭で分析してから行動したり自分のした行為を後から精神分析して弁解しないと気が済まない、そんな都会派フランス人にありがちなパターン、そしてよくあるフランス映画とは大いに違って痛快! 7月15日公開です。(吉)


 

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