Piperade basquaise
「ピペラード」というコトバの響きにはどこか食欲をそそるものがある。ラテン語でピーマンのことを “piper” というのが、このバスク地方の、ピーマンがたっぷり入った名物料理の名前の由来になっているとか。レシピによっては、緑のピーマンだけというのもあるが、ボクは赤ピーマンの甘みを生かしたいので、赤ピーマンを緑ピーマンの倍くらい入れることにしている。
トマトはちょっと面倒だけれど、湯むきしてから使いたい。四つに割ってから種の部分をとり除き、あらくみじんに切る。ピーマンは二つに割ってから、種を白い部分ごと切り取るようにして除き、せん切りにする。玉ネギはざくざくっとみじん切り。ニンニクは薄く小口に切る。
ココットのような厚鍋にオリーブ油をたっぷりととり、まず中火で玉ネギを軽く色がつくまで炒める。次にトマト、ピーマン、ニンニクを加え、ぐつぐつっといってきたら火を弱火に落とす。軽く塩、コショウし、あったらやはりバスク地方のエスプレット産唐辛子のペーストあるいは粉を好みの量加える。
ピーマンは焦げつきやすいので、木のヘラで終始混ぜ合わせながら、気長に40分ほど炒め煮していく。フタをしない方が水っぽくならずにおいしくできる。全体がくたくたっとラタトゥイユ状になってきたら、塩、コショウで味を調えれば完成。
さてこのピペラード、熱いまま、あるいは冷めてもおいしいものだけれど、熱々だったら、さっと焼いたり炒めた魚やトリ肉の付け合わせにすると、ソースがわりにもなるし最高。バスク風に、一人当たり2個の卵を割りほぐしてふつふついっているピペラードに流し込み、半熟状態になったらところで混ぜ混ぜしながら食べるおいしさも捨てがたい。ボクが好きなのは、できあがったピペラードをオーブン皿に移し、バイヨンヌ産の生ハムの薄切りを人数分のせて、オーブンの上火で生ハムがカリッとするまで焼くこと。生ハムの脂を吸ったピペラードに歓声が上がる。(真)
ピーマン500~700グラム、トマト1キロ、玉ネギ2個、ニンニク4片、オリーブ油、塩、コショウ