Damien (25) / Eijiro (32) 「書類を渡しておしまいの パクスには、心底がっかり」

 「家族にカミングアウトしたのは、パリに旅立つ直前だった」
 出会いは6年前の5月のパリ。当時、演劇青年だった二人は、すぐに意気投合。12月にはスピード婚ならぬ、スピードPACS(市民連帯協約)を結ぶ。栄二郎さんのビザ問題が浮上したからだ。シャンソンを学びにパリにきたが、自分の未来はないと演劇に方向転換した栄二郎さん。一方、バカロレアに通ったばかりのダミアンさんも、演劇にのめりこんでいた。「正直言うと、裁判所に書類を渡しておしまいのパクスには、心底がっかりしたよ」と声をそろえる。そんな二人の結婚観は正反対だ。「結婚」は愛のシンボルだと考える栄二郎さんに対し、懐疑的なダミアンさん。「身近な人が別れと出会いを繰り返し、新しく家族を作っては、また別れる姿を見てきて、結婚の意味が分からなくなったんだよ。それに僕自身にはまったく必要ないから」。世間体を気にしての結婚にはそろって猛反対だ。
 同棲をはじめて3年目、栄二郎さんがパリ・アレルギーにかかった。ダミアンさんは、すぐにワーキングホリデーを取得。二人で東京に飛び立った。お弁当屋やレストランで働き生計をたてるが、1年の期限はあっという間に切れた。ダミアンさんを空港に送りだし、一人アパートに戻ったその日、栄二郎さんは部屋中に置かれた「ジュテーム」のカードを見て、こみ上げてくる想いを抑えることができなかった。半年間、別々に暮らしみて、二人の絆を確認。今度は栄二郎さんがパリへむかう番だった。出発の直前、九州の実家を訪れた。「もしダミアンに出会わなかったら、ゲイであることを告白できなかったかもしれない。家族に拒否されるのが一番怖かったから」
 あの長い沈黙の時を超えて…新たにパリ生活がはじまった。今では国際電話で、必ずダミアンの声も聞きたがる栄二郎さんの母、隣でじっと見守る父。言葉はできなくても、なんとなく通じている。そしてダミアンさんの母も、しょっちゅう二人を自宅に招待する。この先、どこで暮らすか分からないけど、二人は冒険を続けていく。(咲)
   
これから相手に期待したいことは?
「平凡だけど、ずっと仲良しでいたい」(ダ) 「彼の幸せを願うだけ。また演劇を始めてほしいんだ」(栄)

前回のバカンスは? 
「2007年5月、栄二郎の30歳の誕生日に、彼を東京へ迎えに行った時。一人で行って、二人で戻ってきた」(ダ)

夢のバカンスは?
「携帯もメールもプレッシャーもない場所へ1週間」(ダ)
「バカンスなし。最近、劇団の活動を再開したんだ。夏休みはツアー公演に出かけられるのがうれしい」(栄)

カップルとしての満足度を5つ星でいうと?
★「保留つきだよ」(ダ) ゼロ!「最良の時は未来にあるからね!」(栄)

5月16日(土)19h、エスパス・ジャポンで、二人の軌跡を追ったドキュメンタリー映画「Avec mon copain」が上映されます。アントニオ・デ・オリヴェイラ監督。


栄二郎さん手製の押し花で作った表札。
初めて暮らした日から今日まで、
二人の住まいの玄関を飾っている。