この前の号で、いろいろとボクが知らないチーズをすすめてくれる朝市のチーズ屋さんのことを書いたけれど、そのご主人が「おたくは山羊乳のチーズがお好きなんだから、ぜひこのチーズも味わってほしい。タルン県から取り寄せているものです」
15センチくらいの長さで、形が丘のようだから〈colline〉というのかな。触ると指の跡がつくようなフレッシュチーズです。布で包みながら成形したものらしく、表面には美しく布目がついている。散らしてあるのはローズマリーの葉。
小さなスプーンですくって口に含むと、クリーミーというよりは、そのままミルクの香り。プロヴァンス産のバノン・フレを思わせる味だ。山羊乳特有の香りと軽い酸味もあるが、塩味は薄い。ボクは塩の華を振って味わった。山羊乳風味がどうしても苦手な人は、きざんだシブレット、塩、コショウ、好みではローズマリーやタイムのようなハーブも振りかけ、オリーブ油やクルミ油を回しかけて味わいたい。ワインは、やはりタルン県で造られているガイヤックの白にしたいところ。(真)