●ラスコー洞窟の壁画の状態が悪化
2月26、27日の両日、世界遺産に指定されているラスコー洞窟の壁画の保存に関するシンポジウムがパリで開催され、その席でアルバネル文化相が壁画保存のための新たな専門家委員会を設置すると発表した。洞窟の壁画には2000年ごろからカビが発生し、06年から黒いシミが広がった。国際ラスコー保存委員会は08年7月にユネスコに、壁画の状態がバクテリア繁殖によって悪化していることを報告しており、ユネスコは、フランスが今年夏までに対策を講じない場合は、世界遺産から除外すると警告している。
●清朝のブロンズ像を落札したのは中国人
2月23、25日にパリのクリスティーズで競売にかけられた清朝のブロンズ像は、中国人が落札したことが3月2日にわかった。このブロンズ像は清朝時代に仏英軍によって北京から持ち出され、中国が返還を求めていたウサギとネズミの頭部像で、故イヴ・サンローラン氏とピエール・ベルジェ氏が共同で所有していた。報道によると、計3100万ユーロで落札したのは中国の民間団体〈中華海外流出文物救援基金〉顧問の蔡銘超氏。同氏は、中国からの略奪品なので代金を支払う意思はないと発言。ベルジェ氏は、代金を払わないなら像を渡さないが、「中国がチベットに人権と自由を与えるなら、2つの像を譲る」と発言しており、中仏関係に波紋を投げかけそうだ。
●サルコジ大統領らに脅迫状届く
シュッド・ウエスト紙は3月3日、アラン・ジュペ元首相のもとに弾丸入りの脅迫状が2日に届いたと報じた。また、同様の手紙が2月中旬から末にかけて、サルコジ大統領、ダチ法相、アリオ=マリ内相、アルバネル文化相、ジャック・ブラン上院議員(民衆運動連合UMP)、レイモン・クデルク上院議員(UMP)にも郵送されていたことがわかった。手紙はすべて同一の文面で、手紙の受取人を「自由を剥奪する全体主義の法律を作った張本人」とし、「お前たちが長年培ってきた憎しみが、お前たちに向かう時がきた」ため、殺し屋を手配すると脅迫。パリ検察局は精神に異常をきたしている者の犯行とみて捜査を開始。
●RER線路内ではねられて2人死亡
3月7日夜11時半ごろ、セーヌ・サンドニ県のスタッド・ド・フランス近くで、パリ首都圏高速鉄道RERの線路内を歩いていた一団が列車にはねられ、10歳と18歳の少年2人が死亡し、11人が負傷した。この一団は、スタッド・ド・フランスで行われたリール対リヨンのサッカーの試合観戦を終えて、貸切バスに向かうリールチームのファンで、サンドニ運河にかかる立入禁止の鉄橋を渡っていた。警察の捜査によると、鉄橋に通じる扉が開いており、扉を閉める保全システムが故障していた。
3月9日付パリジャン紙の表紙。
●アルコールとタバコは18歳から
国民議会は3月9日、18歳未満の未成年へのアルコール飲料とタバコの販売を禁じる法案を可決した。現行では16歳。また、商店や公共の場で未成年に無料でアルコール飲料を配付することも禁じられる。ただし、ガソリンスタンドでのアルコール販売全面禁止の政府案は通らず、販売禁止時間が現行の22時~6時から18時~8時に延長された。一方、2008年2月の判例によって禁止されているインターネット上でのアルコール類の広告は、子供向けのサイト、スポーツ団体など以外のサイトでは認可する修正案を可決した。さらに、〈オープンバー〉(定料金を払えば飲み放題)や販売促進のためのアルコール類のフリードリンクも禁止に(試飲は可)。
●マルチニークでも労使合意
物価高に抗議するゼネストが続いていた仏海外県マルチニークで3月10日、労使代表者が合意書に署名した。それによると、雇用者が30~100ユーロ、国が100ユーロ負担することによって、法定最低賃金SMICの1.4倍までの低額給与を一律200ユーロ引き上げ、3月1日から適用。また、SMICの1.4倍~1.6倍の給与は、1.6倍以上に引き上げる。レユニオンでは10日に2万5000人(警察発表8000人)がデモに参加し、労使交渉が継続中。(10日現在)