いとこで、王の跡継であるオーベール王子が行方をくらましたことを心配する王女ペルヴァンシュが捜査を開始。探偵ごっこ好きという王女は虫眼鏡、名探偵になるための入門書などあらゆるグッズをぎっしりリュックに詰めている。王子の足跡をたどり王女がまず相談に行くのは、王の相談役でもあるMoche(みにくい女)という名の魔女。今回王子の失踪事件を企てたのはどうやらこの魔女…ということが次第に明らかになっていく。
王女のぬいぐるみを「わら人形」同様針で突き刺す魔女の姿、魔女に飲まされた煎じ薬のおかげで常に下痢状態(ちょっと汚い表現も…)に陥っている王子の姿…などを小さい子供たちはどう受け止めるのか…わき上がる笑いを聞きながら「そうか!」と気づいた。「4歳から10歳までの子供向け」とうたっているが、幼児から付き添いの祖父母まで「万人」向けに、しかも各年代がそれぞれ笑いたい場所で笑えるようにつくられているのだ、と。魔女=悪い人という固定概念にとらわれない幼い観客はわかりやすいキャラクターの魔女に加担し、娘のようにもう少し年がいくと王女の味方となり、私たち大人は別の視点から会話や表現の機微を求め、子供たちの率直な反応に笑みをもらす。
会場は、ピガール広場のすぐ下にある「小屋」という表現がぴったりのこぢんまりした劇場。公演後、3人の役者と子供たちとのサイン&討論会が始まった。「魔女がいじわるなのはなぜ?」、「どうして魔女はしかめっ面をしているの?」、「なぜ王子と王女はいつも結ばれるの?」など素朴な子供たちの質問に再び笑みをもらす。(海)
Le Bout Carré : 6 rue Frochot 9e
01.4285.1188 www.lebout.fr/
8e-10e。水14h、日15h。