●サン・ラザール駅閉鎖で大混乱
1月13日、運転士のストでサン・ラザール駅がほぼ1日閉鎖され、45万人の足に影響が出た。サルコジ大統領の圧力を受けて、翌14日、ギヨーム・ペピ仏国鉄SNCF総裁は、ストと13日の駅閉鎖について利用者に謝罪し、同駅を利用する定期券購入者に30~50ユーロを払い戻すとした。同駅管轄区では1カ月前から運転士が交代で短時間のストを繰り返しており、それに加えて首都圏高速鉄道RER A線で運転士が暴行を受けたことに抗議して13日にストを行ったため、駅閉鎖の事態に発展。イル・ド・フランス地方の鉄道は遅れや故障が頻発しており、抜本的な改革が求められている。
●成長ホルモン裁判、被告無罪に
パリ軽罪裁判所は1月14日、死体の脳下垂体から採取した成長ホルモンを小人症患者に投与したために、クロイツフェルト・ヤコブ病に感染して117人が死亡した事件で、脳下垂体の収集・ホルモンの抽出・流通を行った〈フランス脳下垂体〉協会やその関係者である医師・薬剤師ら6人の被告全員に無罪を言い渡した。予審に17年を費やした裁判の焦点は、被告らが問題のホルモン投与によるクロイツフェルト・ヤコブ病感染の危険を1980年代当時知っていたかどうかだったが、裁判ではこれは証明され得ないと認定された。パリ検察庁は同日、パスツール研究所の元幹部フェルナン・ドレ氏、病院薬剤センター幹部のマルク・モレ氏、小児科医エリザベット・ミュニエ氏の3被告について控訴を決めた。
●ガス供給問題でロシアとウクライナ合意
ロシアがウクライナ経由欧州向け天然ガスの供給を1月7日から停止している問題で、17日、ロシアのプーチン首相とウクライナのチモチェンコ首相は、欧州へのガス供給について合意した。ウクライナが今年から欧州並みの価格を支払う(ただし、2009年は2割引)代わりに、欧州向けガスの経由料を据え置くというもの。しかし、ウクライナでは従来の約2倍になるガス価格に反発する声が高く、23日にはユーチェンコ大統領が17日の合意に反対する意向を表明しており、先行きは不透明だ。
●内閣のミニ改造が続き、ダチ法相は辞職へ?
ミニ内閣改造を続けるサルコジ大統領は1月15日、ナタリー・コシュスコ=モリゼ環境担当閣外相(35)をデジタル経済発展担当閣外相に任命した。後任はシャンタル・ジュアノ氏(39)。同氏は内務省、大統領府などでサルコジ氏の元で働き、環境グルネルの開催にも大きく貢献した。一方、ダチ法相は大統領の意向を受け、6月に行われる欧州議会議員選挙にイル・ド・フランス地方から出馬することを決めた。当選した場合は、兼任を避けるために法相を辞任する。背景には、顧問が次々と辞めて法務省内で孤立したこと、司法改革での不人気のために大統領との確執がある模様だ。
●大統領の圧力で、銀行幹部がボーナス断念
大統領府は1月20日、銀行への公的資金(105億ユーロ)投入の見返りとして、各銀行幹部が2008年度ボーナスの全部又は一部を断念することに同意したという声明を出した。ボーナス断念の先陣を切ったのは、BNPパリバ銀行のペブロー頭取とプロット社長。2007年度はそれぞれ87万5000ユーロ、227万ユーロのボーナスを得ていた。クレディ・アグリコル銀行のポジェ社長も30万ユーロと見積もられる08年度のボーナスを断念する。金融危機を招いた銀行幹部の責任を問う世論に応えた形だ。
●南西部、嵐で9人死亡
1月24日に南西部アキテーヌ地方などを襲った暴風(最大風速48メートルに達した)によって、倒木の下敷きになったり、発電機による一酸化炭素中毒などによって9人が死亡した。この暴風で、170万世帯が停電。26日時点でも68万世帯が依然として停電しており、仏電力公社(EDF)によると、復旧には1週間かかる。また、南西部植林組合によると、ジロンド、ランド両県では山林の木の60%が損傷を受け、大きな経済的損害が予想される。26日には、ドルドーニュ県、ジロンド県など6県に洪水警報が発令された。