オートクチュールを支える二人。

Aurélie Lanoiselée -broderie-
「コレクションのリズムに合わせて生活するというのは、肉体的にとてもハードなこと…」

金銀の刺繍糸、きらきらと輝くビーズやスパンコールやクリスタル、レースやオーガンジーをふんだんに使ったオートクチュール・ドレス。そんな華麗な世界を影で支えているのが、オレリーさんのような刺繍職人だ。
マルシェ・サンピエールからすぐ近いアトリエは、知り合いと共同で借りたアパートの一室を改造したもの。大きな棚にビーズ、スパンコール、刺繍糸、リボンなどのアイテムが並び、マネキン、ミシン、アイロン台が所せましと置かれている。さながら小さな宝石箱をひっくり返したような印象だ。子供のころからデッサンが得意だったオレリーさんは、パリの3区にあるécole supérieure des arts appliqués Duperréでモードデザインを学んだが、全体的なシルエットより、素材に惹かれて、専門を刺繍に変えた。小さな布地に膨大な手間をかけて、緻密な作業をくりかえす刺繍の世界は、「すごいチャレンジ」だったという。そういう彼女は、現在27歳。「指で触って、ひとつひとつの素材の感触を探っていくことに一番興味をもっているの」
卒業制作がカルバンのアートディレクターの目に留まったのがきっかけになって、刺繍職人の道に入った。その後、クリスチャン・ラクロワとの出会いがやってくる。
メゾンによってやり方は違うけど、担当するパーツは、デッサンから素材選び、モチーフの構成まで、全工程を引き受ける。助手と二人で、ひと刺しひと刺し、丁寧に糸を導いていく。「デザイナーがイメージする最も美しい形をすぐに汲みとって、短時間で表現するのが一番大事なことだと思う」
「この仕事を続けていくむずかしさは、何といってもオートクチュールを続けるメゾンの数が減ってきたこと」。つい先日も、注文主のカルバンが、オートクチュールから手を引くと知らされたばかりだ。「それにコレクションのリズムに合わせて生活するのは、肉体的にとてもハードなの」。受注から完成までの約3週間、プライベートもなくなり、血まなこで徹夜の作業が続く。「映画『Brodeusesクレールの刺繍』で描かれたようなのんびりしたお針子の姿は、もう存在しないわ。ひと昔以上も前の話よ」。例えば1月末の春夏コレクションの詳細を知らされるのは、1月に入ってから。いつもギリギリになってからデザイナーが考えをまとめ上げるからだ。それ以外の期間は?「次にデザイナーに提案するサンプルや、個人オーダーのウエディングドレスを作っているの。でも、自分自身の作品を準備する時間もできるだけとるようにしたいわ」
 そんなオレリーさんにとって、この仕事で一番うれしい瞬間は? 「もちろんコレクションを見に行って、自分の作ったパーツがどこに使われているのか、発見する時!」(笑)。ラクロワとは、今回13回目のコラボレーションとなる。「電話が鳴って、もう一度僕のために働いてほしいと言われるたびに、毎回飛び上がるほど嬉しいわ。オートクチュールにとって刺繍とは、ほんの一部の小さな装飾でしかないけど、美しい服に、とびきりの付加価値をつけるものなのよ」(咲)
リボンをふんわり縫い付けて、立体感を出していくリボン刺繍。繊細な手仕事がドレスにインパクトを与える


手芸国際見本市
2月12日から15日まで〈L’Aiguille en fête〉という裁縫、編み物、刺繍、レース、パッチワークなど手芸の国際見本市が開催される。『オートクチュールの秘密』展も。
サイトで申し込めばさまざまなアトリエにも参加もできる。この見本市にオヴニー読者15名様をご招待。
concours@ilyfunet.comまでご連絡下さい。

Grande Halle de La Villette (M。Porte de Pantin)
12日、13日/9h-19h  14日、15日/10h-17h。
10e/12歳未満無料(12歳~20歳は2人で10€)
www.aiguille-en-fete.com

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