8歳になった娘には「幼児や児童向け」ではなくもっと本格的な舞台を観せてやりたい。そこで思い出したのが、サンマルタン門横の劇場で定期的に公演を行うEcla Théâtreのこと。1987年に誕生したこの劇団は、創作、古典を合わせ約50作品のレパートリーを抱え、毎年その中から10あまりの作品を代わる代わる演じている。2008-2009年の演目は、『嫌々ながら医者にされ Le Médecin malgré lui』、『気で病む男 Le Malade imaginaire』、『才女気取り Les femmes savantes』、『スカパンの悪だくみ Les Fourberies de Scapin』などモリエールの喜劇、モーツァルトの『魔笛 La flûte enchantée』など。
娘を誘って水曜日の午後に観に行ったのは、モリエールの『気で病む男』で、場所はTh脂tre de la Porte Saint-Martin、フランス革命の直前に、マリー=アントワネットの要望でオペラ用の劇場として建設されたイタリア式劇場だった。立派な劇場にまず娘は感嘆。そして「ドンドンドン」と3度舞台が棒でたたかれると幕が上がる。
本当はどこも悪くないのに、自分は重病で余命いくばくもない、と勝手に信じ込み周囲を振り回す迷惑な男が主人公という、この作品をどこまで理解しているのか…娘は笑みをもらし、時には爆笑している。衣装も美術も本格的、照明や音響もなかなか凝っている。幕間なしで約2時間、何度かアンコールの喝采の後、再び客席に照明が点される。小学高学年や中学生の団体の、父兄に引率された子供たちの姿、いずれも満足そう。(海)
Ecla Théâtre : 01.4272.0033
プログラムはwww.ecla-theatre.com/