12月1日、16週間にわたって失業者や低収入の家族などに無料で食事を提供する〈Restos du cœur〉がオープンした。この協会は、1985年秋にコメディアンのコリューシュが立ち上げたものだが、フランスが豊かになれば消えていくはずの〈Restos du cœur〉だったが、利用者は年々増え続けるばかり。
「オープン当時は失業者がほとんどだったが、最近の傾向は、お年寄りと仕事をしていても食べられない人たちが増えていること」とパリ18区にある〈Restos du cœur〉のベルテ会長は語る。今冬、フランス全国1950カ所にある〈Restos du cœur〉に登録して利用する人は、1年前より5%から10%増で70万人を超えると見られている。そのうちの55%が失業者で、10%が定年退職者、10%が母子家庭、それに、定期的な仕事がない人、身障者、学生、アフリカ・アジアからやって来た外国人滞在者が加わる。オープンの日には、新規登録の人も含め、配給センターとして使われる倉庫などの前に、長い長い列ができた。今年は全国で9100万食が配られる見込みだが、「24年前に比べると10倍以上だ。現在の不景気で失業者が増加することを考えると、残念ながら1年後にはさらに増えることになるだろう」とベルテ氏。
「〈Restos du cœur〉に通うのは恥ずかしいけれど、そうしなければ、文字通り飢え死にです。冬だけでなく1年中オープンしていてほしいけれど…」と利用者の一人。(真)
壁にはコリューシュの写真が…。