パリで3カ所の露店市をかけもちしているジャガイモが売り物のオスカーさん。
小ぶりな〈シャルロット Charlotte〉、皮が赤紫色の〈リュビー Ruby〉、〈ロズヴァル Roseval〉、ヘーゼルナッツの味もする〈ベル・ド・フォントネー Belle de Fontenay〉などは、皮が薄くて身が締まっている。火を通しても煮くずれしにくく、焼いたり、蒸したり、揚げたり、煮込み料理に加えたり、サラダに入れたりと大活躍する。一方、フランスで一番人気の〈ビンチ Bintje〉は、火を通すとくずれやすいタイプ。スープ、マッシュポテト、フリット、グラタン料理などで、ホクホクとした持ち味を発揮する。ところで最近、マッシュポテトの定番〈BF15〉種を見かけない気がするのですが・・・「〈BF15〉はカビや寄生虫への抵抗力が弱く、扱いにくい品種なので、下火になってきました。だけど品種改良が進んで、〈BF15〉の味を再現して〈ガラント Galante〉というのができたんです。また1989年に〈シャルロット〉と〈ビンチ〉の配合で生まれた新顔〈サンバ Samba〉は、少しずつ支持を得ています。スープ、マッシュ、フリットに素晴らしい味を発揮するので、今一番のおすすめですね」
ふと、隣にいたお客さんが一口サイズの〈ラット Ratte〉を1キロぐらい購入していたので尋ねてみた。「コレを見つけると必ず買うのよ。皮付きのまま、さっとゆでたり炒めるだけで、すぐに付け合せが完成するからすごく便利。ジャガイモはいつもソテー用とピュレ用に2種類、その日のおすすめから一番おいしそうなのを選ぶのよ」
9月末には紫の鮮やかな〈ヴィトロットVitelotte〉が並び始める。「これをゆでてサラダに入れたり、チップスにしたり、ぜひジビエ料理にも試してください。ジビエの野性味と濃厚なソースをしっかり受けとめ、いっそうジビエ料理の醍醐味を引きだす名脇役なんですよ」(咲)
左から〈ビンチ〉、小ぶりな〈シャルロット〉。
左から〈シャルロット〉、〈ベル・ド・フォントネー〉。
身が紫色の〈ヴィトロット〉。
ジャガイモは、どんな料理に使うか次第で、身がしまったものか、くずれやすいものかを選んでくださいね。
オスカーさんは、スペインのアラゴン地方出身の36歳。果樹園をいとなむ両親と、野菜露店商の祖父母をもつ。彼が手にする袋に入っているジャガイモは〈ジュリエット Juliette〉。
レストラン業者には、圧倒的な人気で、皮が薄くて身がしまったタイプ。●Marché Belgrand (20e) 水7h-14h30、土7h-15h
rue de la Chine(hôpital Tenonの入り口付近)
M。Gambetta
●Marché Anvers (9e) 金15h-20h30
square d’Anvers/avenue de Trudaine M。Anvers
●Marché Point du Jour (16e)
火・木7h-14h30、日7h-15h
avenue de Versailles M。Porte de Saint-Cloud