大事な美術品は大事に持って帰りたい。
フランスに長く滞在して、もう日本に帰るというとき、こちらで買った美術品を送るにはどうしたらよいのだろうか。日本企業や日本人家庭の引越しを多く扱っている日本通運の担当者に聞いた。
特別の書類(ライセンス等)なしで輸送できる美術品は、制作後100年以内の版画、リトグラフと骨董品。100年を超えるこれらのものや絵画でも、各ジャンルの総額が15,244ユーロ以内なら特別書類は不要だ。
各ジャンルの総額がこの金額を超え、作者が生存しているか、作者の死亡後作品の輸出時までが20年以内の場合は、引越証明が必要。
それ以外の美術品は、税関とフランス美術審査会の審査を受けなければならない。国外持ち出し禁止と判断されたら、国に買い取られる。
美術品を買ったら、どんなものでも領収書を取っておいたほうがいい。もらいものでも証明書の対象になるので、引越し前に作者に値段をつけてもらうというような配慮が必要だ。
画家や彫刻家はアトリエに残っている作品を持って帰りたいだろうが、絵が100枚もあったりすると、帰国後売るつもりがなくても業務輸出とみなされ、日本の税関で多額の税金(関税・消費税)を払う羽目になりかねない。
美術品は木箱輸送が原則。額装品は、保護材を当ててから梱包する。船便で送られることが多いが、油絵は航空便がおすすめだという。
「必要書類の有無や梱包の詳細はケースバイケース。引越しが決まったら、できるだけ早く見積りの相談に来てください」とアドバイスされた。(羽)