努力のかいあって、公共住宅を手に入れた。
公共住宅の中には、立派な建物もある。パリ13区、ミッテラン国立図書館周辺の新開発地区にあるジャニー・ロンビオンさんのアパートがまさにそれ。6月に学業を終えたばかりの息子さん2人と、11年前からここに住んでいる。入り口にはインターフォンがあって安全だし、広いホールはいつも清潔。部屋の間取りも建物のデザインも、民間の高級アパート並み。言われないと、公共住宅とはわからない。パリ市の公共住宅は、入居者の年収に応じて3ランクに分かれている。ロンビオンさんの住居は、「中間賃貸Prêt Locatif Intermédiaire (PLI)」とよばれる一番高いものだ。
「4、5年待って、 このアパートに当たりました。 3部屋で68m2、 家賃は800ユーロちょっと。その前は、モントルイユ市が所有する古い家に住んでいました。 今のところは家賃が前より1割安い上に、明るく、 新築なので快適です」
郊外でも申請書類を出し、住居がほしいという手紙を公共機関や代議士に100通以上出したが、希望に見合うアパートがないという返事しか返ってこなかった。
パリ市が入居者を選ぶ基準は、「収入がそこそこあって、子供が2、3人いる家庭」だとロンビオンさんは言う。
「市役所にちょくちょく顔を出して、自分の書類がどこまで行っているかを確認することが大切。顔を覚えてもらえれば、意外に早く見つかるかも」とアドバイスしている。(羽)■ HLM(低家賃住宅)に申し込むには
家賃が高騰するなか収入に見合ったアパートを見つけるのは至難の業。いわゆる公団であるHLM(低家賃住宅)に申し込むのも1つの手だ。HLMには社会住宅と、それよりやや家賃の高い中間賃貸住宅(PLI)がある。ただし、申請件数に対してHLM供給数が追いつかず、入居するのは大変難しい。緊急のケースを除き、パリでは10年待ちといわれる。
● 申請条件
仏国籍保持者あるいは滞在許可証保持者であること。年収(前々年のrevenus nets imposables)が規定の額を超えないこと(例:パリの場合、1人なら23,553ユーロ、4人なら55,093ユーロ)。
● 申請先
HLM管理機関あるいは県・市町村。パリの場合はパリ市の住宅課(Direction du Logement et de l’HabitatのHLM窓口:6, rue Agrippa d’Aubigné 4e)あるいは各区役所の住宅課支部に。〈1 % logement〉に参画する企業(従業員20人以上)で働いているなら、自社の企業委員会(comité d’entreprise)に問い合わせを。提出書類は滞在許可証、前月の給与明細、家賃受領書、所得課税通知書など。申請は1年間しか有効でないので、毎年更新すること。(し)