北フランスで豚の丸焼きを食べた。
フランスの田舎では、お祝いごとやお祭りごとでみんなが集る時に豚や羊の丸焼きが登場するらしい。
引越しや新築祝い、結婚式の料理になることも…。
北フランス、Lensランス近くの知り合いのおばあちゃんのところで豚の丸焼きをご馳走になる機会があった。去年のクリスマスから「夏に豚の丸焼きをやるよ」と、おばあちゃんはみんなに参加を呼びかけていた。
前の日、70キロ近くある豚が親戚のおじさんたちによって運ばれてきた。子豚だと思っていたので、実際に見た時にはちょっとビックリ、食欲が失せた。当日、朝8時から豚が串刺しにされ、くるくると回りながら焚き火の上で焼かれていく。オリーブ油にハーブを入れたマリネ液を豚の表面に塗りこむのだけれど、床掃除用のデッキブラシを使っていて料理というよりも作業といった感じだ。何度も何度も液を塗りこんで焼くこと6時間、こんがりと黄金色の豚の丸焼きが完成した! 最初に見た時のグロテスクな印象はすっかり消えて美味しそう…。
この日集まったのは親戚やご近所さん約30名。2人がかりで豚を板の上に移し、解体作業が始まった。豚の皮は切り分けるはなから奪い合いに。カリカリとおせんべいを思わせる味と食感、なかなか美味しい。その後私たちはテーブルに移動。焚き火に放り込んで焼いたジャガイモと一緒に食べたお肉自体も、見た目の迫力とは一転、しっとりと奥深い味わいだった。
おばあちゃんが大勢の人を集めて、自宅の庭で振る舞った豚の丸焼き。2年ぶりにみんなに会えて嬉しそうだった。(ち)