EU議長国を務める サルコジ大統領の正念場。

 7月1日から12月末までフランスがEU議長国を務めるにあたって6月30日、サルコジ大統領はテレビで、EUが年末までに解決すべき問題と抱負を表明した。6カ月間放っておかれることへの不安を抱く国民には、EU内を奔走しながらも週一回は地方周りをする、と秒刻みの行動姿勢を見せる。6月12日、アイルランドが国民投票でリスボン条約(EU憲法改革条約)を拒否したため、来年1月の施行も危ぶまれ座礁に乗り上げているだけにサルコジ船長の舵取りに大きな期待が寄せられている。
 EU議長国が27加盟国に提議すべき問題として「農業」「環境」「移民」「防衛」などが控えている。
 50年以来、特にフランスの農業従事者が恩恵を受けてきた共通農業政策CAPも、2003年よりルーマニアやハンガリーなど東欧の新加盟国への農業補助政策が加わり、2013年までに根本的改革を必要としている。環境問題は、昨年メルケル独首相が提案した温暖化防止対策を基に、2020年までに温室効果ガスの排出量を20%減、リサイクルエネルギーを20%にするなど、年内に加盟国の同意を得て来年EU議会決議に。が、産業開発を急ぐ新加盟国の中にはこの対策案への同意を渋る国もあり、仏独主導体制も揺らぎ始めている。
 EU諸国共通の「移民対策」としては、7月7-8日カンヌのEU移民相会議でフランスは「移民・亡命協約」を提案。サルコジ大統領が提唱してきた「選ばれた移民」構想に基づき、分野別に必要としている移民の受け入れや不法移民の強制送還、出身国との産業共同開発、シェンゲン協定国外の国境警察の共同監視態勢の強化など。
 ところが、ポーランドのレフ・カチンスキ大統領が昨年、仏大統領と独首相に説き伏せられしぶしぶ同意したリスボン条約に署名しないと仏議長国初日に表明し、仏大統領の出鼻をくじく。条約に猛反対した双子のヤロスワフ・カチンスキ前首相は07年総選挙で中道右派「市民プラットフォーム」党に破れ、トゥスク新首相政権下、4月に国会が条約を批准している。今になっての同大統領の横やりはトゥスク首相への仕返しとも見られ、EU諸国の歩調を狂わす。チェコのクラウス大統領もEU懐疑派の一人で、アイルランド国民の拒否投票をもって条約の「死」とみなし、EU懐疑ムードを広めかねない。
 批准していない8カ国が今後どのような動きを見せるか雲行きが危うくなりつつあるなかで、7月11日 、サルコジ大統領はまずアイルランドの機嫌をとるためカウエン首相のもとに馳せる。2005年、EU憲法案を国民投票で拒否したフランスの挽回とともに、独・英・伊・スペインなど主要国の支持をテコにサルコジ大統領ははたしてEU市民の共鳴を得られるか。(君)

欧州委員会バローゾ委員長と握手するサルコジ大統領。

 

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