「私たちのクラスの生徒は36人で満杯。くっつき合ったように座らされ、机と机の間の通路だって1メートルもない」
4月15日の高校生デモに参加したイヴリーヌ県の高校1年生。
「2001年に暴力事件があり、生徒と教師が団結して立ち上がり3週間にわたるストを行った。その後、教師数が増えるなど改善されてバカロレアの合格率も向上したところだったのに、今度は再び教師を減らすというのだから…ボクの弟のことなども考えてデモに参加」
セーヌ・サンドニ県の高校3年生。
「パリの高校生たちは私たち郊外の高校生よりはるかに優遇されている。高校生すべてが平等の教育を受けられるべきなのに、私たちは置き去りにされ、忘れられている」
エソンヌ県の高校2年生。
「バカロレアの試験が近づいてきたのに、両親は私を支持してくれている。特に組合員の父親は、私たちにデモに必要な器材を寄付してくれたりデモのアドバイスをしてくれる」
セーヌ・サンドニ県の高校3年生。
3.2%
国立統計経済研究所Inseeの発表によると、この1年間の物価上昇率は3.2%で1991年以来の上昇率。EU諸国を見てみると、オランダが2%、ドイツが2.9%、イタリアが2.9%、ベルギーが3.6%、スペインが4.4%。フランス政府は、最低賃金Smicを2.3%引き上げることを決定した。
●中国でフランス製品の不買運動広がる
北京五輪の聖火リレーがパリで妨害されたことや、サルコジ大統領が五輪開会式出席の条件として中国首脳とダライ・ラマ14世との対話を打ち出したことに対して、4月半ばから中国で仏製品の不買運動や抗議デモが拡大している。とくに19、20日には武漢の1万人を筆頭に、西安など6都市の大規模スーパー、カルフール(中国に112店)前で数百人から千人規模の抗議行動があった。こうした動きを受けて21日には、ポンスレ上院議長が訪中し、パリの聖火リレーの際に妨害にあった身体障害者の陸上選手、金晶さんに大統領からの謝罪の手紙を手渡す。胡主席とも会見し、関係改善に努めた。
●教員削減策に高校生らのデモが全国波及
2008年度予算で予定されている教員ポスト11200の削減(うち中学・高校が8800)に対して、高校生の組合、教員組合、保護者団体によるデモが4月半ばから全国に広がっている。パリでは約100校で高校生が学内封鎖を行ったり、小競り合いも発生。15日には小・中・高校で教員ストが行われ、パリで2万~4万人がデモに参加、24人が身柄を拘束された。ダルコス教育相はポスト削減は生徒数減に伴うもので教育の質は低下しないと反論。
●サルコジ大統領、公立病院再編策を発表
サルコジ大統領は4月17日、全国の公立病院再編策の骨子を発表した。2012年までに公立病院を地域ごとにグループ化して財政援助し、経費削減を図ることによって、2007年末時点で8億ユーロに上る赤字の解消を目指す。また、病院長の権限の強化、病院の救急科と緊急待機開業医の電話番号を一つにし、必要な場合のみ救急科に患者を回すなど。
●不法労働者が滞在許可求めてストライキ
4月15日から労組CGTの支援で、清掃、建設会社、レストランなどで働く不法移民労働者がパリ首都圏各地の職場で滞在許可証を求めて一斉ストに突入。彼らは偽造滞在許可証などで採用され、後に不法滞在者であることを雇用者も承知している労働者たちで、給与明細や健康保険番号を保持し、所得税申告もしている。21日までに20社以上のおよそ600人がストに参加。ホテル・飲食業界の経営者組合も彼らの滞在許可を政府に要求している。飲食業界ではこうした不法労働者が5万人存在する模様。しかし、オルトフ移民担当相は23日、滞在許可証の一斉発給はしないと発言。
●PSGのアラン・ケザック会長、辞任
サッカーのプロチーム、パリ・サンジェルマン(PSG)のアラン・ケザック会長は4月21日、辞表を提出し、受理された。PSGは19日にカーン戦に敗れ、翌日に緊急取締役会が開かれていた。ポール・ルグエン監督は留任。リーグ戦終了間際になってのこの辞任劇は、PSGがリーグ1で18位と昨シーズンに続く不調で、来季はリーグ2に降格する危機にあるため。一方、PSGのサポーターグループ〈ブローニュ・ボーイズ〉のメンバーらが3月29日のリーグカップ決勝のランス戦で北部の人を侮辱する横断幕を掲げた問題で、アリオ=マリ内相は4月17日、同グループの解散を命じた。同問題では9人が取調べを受けている。
●マルチニークの詩人、国葬に
海外県マルチニークの詩人、エメ・セゼール氏の国葬が4月20日に現地のフォール・ド・フランスのスタジアムで執り行われた。セゼール氏は17日に94歳で亡くなった。サルコジ大統領、アリオ=マリ内相など政府要人をはじめ、オランド社会党第一書記、ジョスパン元首相や地元の人々ら数千人が葬儀に参列。黒人文学運動〈ネグリチュード〉を牽引し、植民地主義を批判。代表作は『帰郷ノート』『植民地主義論』など。国民議会議員でありフォール・ド・フランス市長でもあった。
●エール・フランスはアリタリア買収断念
エール・フランス-KLMグループは、4月21日、イタリアのアリタリア航空の買収を断念すると発表。同航空の取締役会は3月にAF-KLMが提示した株式交換を承認していたが、再建案に関するAF-KLMとアリタリア側労組の合意が成立しなかったため。また、イタリアのプロディ暫定政府は5月に首相に就任するベルルスコーニ氏の要請によって22日、アリタリアに3億ユーロの緊急融資を決定した。