テレビで見た砂糖のタルトを再現。うま~い! Tarte au sucre

 NHKの「きょうの料理」にはじまり、とにかく料理番組を見るのが大好きだった。フランスに来てからも、France 3の〈Bon appétit bien sûr〉は、時間の都合さえつけば欠かさず見ている。さらに好きなのは、各地方や各国を回ったドキュメンタリーで、cuisine du terroirと呼ばれるような、それぞれの土地柄に合った料理が作られていく様子を見ること。そんな見知らぬ味を想像する楽しみ、そしてそれを再現する楽しみ。といってもふつうの料理番組とは違って、使われている材料の細かい分量がわからないことが多いけれど、それがかえってチャレンジ心を誘ってくれる。
 砂糖のタルトは、そんなドキュメンタリーで見た、以前は砂糖大根(ビーツ)を作っていたというベルギーの農家の「おばあさんのタルト」です。パイ皮はどんな種類の生地を使うかには触れていなかったので、パット・ブリゼpâte briséeというパイ生地を作って、2時間ほどねかせておく(作り方は下欄参照)。
 まずオーブンの目盛りを180度に合わせて点火。パイ生地を2、3ミリの厚さに伸ばして、バターを塗った浅くて広いタルト型におさめ、底をフォークでまんべんなくつついておく。その上にcassonadeという褐色の砂糖、あるいはvergeoiseというきめの細かい焦げ茶色の砂糖を大さじ5杯ばらまく。半々にしてもいい。この上から生クリームを200cc注ぎ入れる。固まるかどうか心配な人は卵1個を混ぜ入れてもいいだろう。その上からさらに褐色砂糖少々を散らし、バターをちょんちょんとのせ、熱くなっているオーブンへ。ここまでの準備に時間がかからないから、急なお客さんという時にも便利だ。
 30分ほど経って、きれいな焼き色がついたらでき上がり。少々冷ましてからほおばると、う~ん、この味は? そうだ、ブルターニュ名物のお菓子kouign amann!(日本ではクイニー・アマンと表記されているけれど、クイニュ・アマンの方がブルターニュ人の発音に近い) 折り込みパイ生地pâte feuilletéeを使えば、もっと似た味になりそう。紅茶のお供に最適だが、ボクはテレビで見たとおり、ベルギーのビールで味わった。うま~い!(真)

褐色砂糖大さじ6杯、濃いめの液状生クリーム200cc、バター少々、
パット・ブリゼ用:小麦粉250g、バター125g、水約半カップ


●Pâte briséeを作ってみよう。
 生地を作り始める30分前にバター125グラムを冷蔵庫から出し、さいの目に切って室温に置いておく。大きなボールに小麦粉250グラムをとる。真ん中にくぼみを作り、そこへ、小さじ半杯の塩、そして砂糖味のタルト用なら砂糖大さじ2杯を入れ、さらにバターを加える。指先でそのバターを細かくしながら粉と混ぜ合わせていき、そぼろ状になったら、水をカップ半杯弱加えて、素早くこね合わせながら、まとめるような感じで玉にする。水は入れすぎないように、2、3回に分けて入れるといい。しなやかだが柔らかすぎず、指にくっつかない、というのが目安。練りすぎると焼き上がりが固くなる。この玉をラップでくるんで冷蔵庫に最低2時間はねかせておきたい。

●砂糖大根(ビーツ)
 フランスの北部で栽培されているビーツbetterave sucrièreは、収穫された後、粉砕されて熱湯とミックスされ、そこからサッカロースが抽出されて精製され、各種の砂糖が作られている。この製法は18世紀末に考案されたものだ。1806年11月、ナポレオンが大陸封鎖を行ってしまったので、西インド諸島からの砂糖が輸入できなくなり、フランスでまかなえる砂糖大根からの砂糖生産が奨励されるようになった。砂糖大根を原料とした砂糖は、現在フランスで年約3000万トン生産され、世界一。
*砂糖関連記事は596号参照。

●カブ、カレー・ハチミツ風味
 先日子羊のローストの付け合わせに、カブのカレー風味を作ったら大好評だった。作り方も簡単。カブ500グラムは皮をむき一口大に切る。フライパンに油をとり、カブを炒めていく。この間に、熱々のトリガラのスープ1カップ(インスタントで十分)にカレーペースト大さじ1杯とハチミツ小さじ1杯を溶かしておく。カブに軽く焼き色がついてきたら、カレースープを加え、フタをする。カレースープがほとんど煮詰まってきたら、これをカブに絡めるようにすればでき上がり。


●赤ビーツ betterave potagère 
 いびつな白カブといった形の砂糖用のビーツと違い、そのまま食用になるビーツは真っ赤な色(ボルシチの色はこのビーツが入っているからだ)。八百屋では、皮をむいてゆで上げたものと、葉つきのまま結わえられた生のものと、ふつう2種類が売られている。ゆで上げられたものは、輪切りにしたり、さいの目に切ったりしてそのままサラダに。他の野菜と取り合わせる時、ビーツの赤い色、その独特の甘味とコントラストになる野菜を組み合わせたい。生ビーツも、おろしたり薄く輪切りにしたりして、やはりサラダに。そのシャキッとした歯ごたえがうれしい。葉もカブ菜のごとく調理したい。