ゴミ箱を頭にかぶりほうきにまたがった男が、マントをひるがえして舞台に上る。これがギュスターヴ・パーキングという役者。年の頃は50代前半、とてもきさくな感じ。舞台に置かれた机の上には、ネギ、ざる、風船など日常見慣れたものが所狭しと並んでいる。手品でも始まるのかな? と思っていたら、いきなりねぎが会場に放り投げられる。するとそのネギを捕まえようと客席から多くの手があがる…。 ギュスターヴ・パーキングは、1980年代初頭からワンマンショーを続けている。久しぶりのパリ公演は『傑作集』というだけあって、「生きるべきか死ぬべきか…そんな質問は忘れてしまえ!」なんて定番のギャグを一緒に叫んでしまうファンもいる。和気あいあいとした雰囲気。「政治の話題は嫌い」と笑わせながら、現大統領をナポレオンにたとえたり、「フランスらしいアイデンティティ」について、国籍やパスポートの話、今のテレビや郊外の若者たちの話など、早口な話術は絶好調。そんな辛口の批判に笑いを盛り込む彼の聡明さに感嘆してしまう。パーキングが詩を朗読し始める。自由、博愛、平等、そして子供たちの未来が明るいものでありますように…こんな人が増えればフランスももっとよい国になるかもしれない…と思う。 拍手喝采でカーテンが閉じられた後、ギュスターヴ・パーキングが「こんなに面白かったんだからみんなお金を払ってちょうだい!」と呼びかける。そう、1994年にこの劇場で公演を始めてから、パーキングは入場料は格安にし(現在は2e)、公演の最後に観客が好きな金額をプラスするシステムをとっている。パーキングが昆虫網を持って近づいてきた。(海) |
Photo : Didier Pallages Theatre Trevise : 14 rue de Trevise 9e |
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