都市郊外団地に住む女性たちの地位向上を目的とする団体〈Ni Putes Ni Soumises〉のファデラ・アマラ代表(43)が、フィヨン内閣の都市政策担当閣外相に就任し、大統領選挙中は終始社会党のロワイヤル候補を支持してきただけに周囲を驚かせた。共に闘ってきた〈Ni Putes Ni Soumises〉のメンバーたちの間でも、PACS(市民連帯協約)反対など保守的モラルを代表するようなブタン住宅・都市相の下で、アマラ氏に何ができるのか、名誉・権力に目がくらんだ裏切り行為、と批判する声も上がっている。 1964年、クレルモン・フェラン市で生まれる。両親はアルジェリアのカビール地方からやって来た移民で、9人の兄弟姉妹がいる大家族だった。小さい時から、家ではアラブ語を話しながらも、フランス人であることを誇りにしていたという。16歳の時に、住んでいた団地が取り壊されることになり、積極的に反対運動に参加。21歳の時から働き始める。その後は反人種差別団体の〈SOS Racisme〉で活躍。「こんな風に闘いながら私は少しずつ自由になれたのです」 2002年10月、パリ郊外の団地でソアンヌという17歳の女性が、彼女の生き方が気に入らない男友だちによって殺害された事件をきっかけに、アマラ氏がイニシアチブをとって、翌年〈Ni Putes Ni Soumises〉が誕生する。この団体の活動はメディアにも大きく取り上げられ、全国的に組織が広がっていく。アラマ氏の右派、左派の政治家との接触も増えていく。「郊外団地で育って、何のディプロムも持っていないのに、社会的に重要な人たちから迎えられるのは、やっぱりうれしい」。そして今や閣外大臣…。 彼女の入閣に対し、やはりマグレブ系移民の2世で〈SOS Racisme〉の代表を務めた社会党員のマレック・ブティ氏は、「積極的な意味があると思う。何かやってほしい。これまで、社会党は私たち移民2世の声を無視しがちだったからね」と弁護する。(真) |
|