総選挙の投票箱を開けてみると…

 6月17日、国民議会議員決選投票の結果は、民衆運動連合UMP 324(-35)+新中道他 23(前UDF-7)=与党過半数347。社会党 207(+58)+共産党15 (-6)+緑4(+1)+中道民主運動MoDem 4(前UDF-25)=野党230。
 10日の第1回投票得票率は、UMP 42%、PS 26%で予想議席数は与党405~445席、野党100~140席とされ、社会党は「ブルーのツナミ」に襲われ壊滅するのでは…とメディアが騒ぎ、大統領派大勝利の空気が漂っていた。
 ところが6月10日夜のTV討論会で、ファビウス社会党元首相がボルロー経済相に「付加価値税TVAの引き上げはあるのかないのか」と迫り、経済相が「それは検討中」と口走ったものだから「社会保障TVA」が選挙戦の的に。ロワイヤル社会党前大統領候補やオランド同党書記長は敵の首を取ったかのように攻撃開始。翌日フィヨン首相は集会演説でドイツやデンマークにならい、社会保障TVAとして19.6%を5%引き上げ24.6%にするのは、社会保障負担率を軽減した分(例:残業手当+25%、その分の社会保障負担率ゼロ)をそれで埋め、TVA引き上げでアジア諸国からの輸入超過も防げるだろうと説く。が、貧困層や年金生活者にはすでに高すぎる19.6%をさらに5%上げることは、富裕層へのサルコジ式超減税策の尻拭いを消費者がさせられることで、サルコジ大統領当選の圧勝に酔いしれる与党大統領派への警告票となったよう。
  1カ月前に環境・持続的開発相に任命されたばかりの閣僚No.2の元首相ジュペ候補が、ボルドーで社会党ドロネー候補に僅差(50.93%)で破れ、60年来右派が握る都市が左派の手に移る。同日ジュペ氏は大臣として辞任を表明、政治家の浮き沈みの激しい運命を自ら演じてみせる。
 口の軽いボルロー氏を経済・財政・雇用相にした人選ミスを認めたサルコジ大統領は、彼を環境・国土開発省に配置換えし、代わりに国務大臣に格上げし体面を保たせる。
 もうひとつのスクープは、セゴレーヌ・ロワイヤル氏とオランド社会党書記長が正式に別れたという発表。2カ月前に出版された R.Baque A.Chemin共著『運命の女Femme Fatale』は、4人の子供をもつ二人の30年来の内縁関係の破綻に触れているが、6月21日発行のAFP記者Ch. Courcol/T. Masure共著『les Coulices d’une défaite 敗北の舞台裏』で、彼女は私生活をめぐる巷説を認めている。
 1年前からの不和(オランド氏は女性記者と恋人関係)や選挙戦略での意見の相違、オランド氏の彼女への非協力的な態度などの謎が解けたよう。政治と私生活を完全に分離することで、急がれる社会党の根本的改革で彼女が主導権を握る決意がうかがわれる。(君)

6月18日付リベラシオン紙の一面。「右派は左のパンチをあびる」と左派の奮闘ぶりをタイトルに。