Salade de raie et frisee
暑くなってくるとサラダがさっぱりとおいしい。といっても、サラダ菜だけでは栄養のバランスがくずれるから、コンテやロックフォールといったチーズ、ゆで卵、生ハムやカモの胸肉の燻製などを加えた豪華なサラダにすれば、それだけで簡単な一食にもなってしまう。さまざまな魚介類が入ったシーフードサラダにもファンが多い。今回はゆでたエイのヒレが入ったサラダです。エイのヒレは、小骨がなく真ん中にすぐにはずせる軟骨があるだけだから、身をほぐすのも簡単だ。
エイのヒレは、4人分として2、3枚、600グラムほどあればいいだろう。魚屋さんに頼んでねばねばっとした皮をむいてもらうとあとが楽。サラダと組み合わせるのであっさり味に仕上げたいから、白ワインを加えたようなクール・ブイヨンは不要。なるべく底が広いフライパンに重ならないようにエイを並べ、魚がすっかりかぶるように水を入れる。塩大さじ1杯、コショウ10粒、ローリエの葉1枚、タイム1枝を入れ、弱火にかける。しばらくすると、かなりの量のアクが出てくるから、これを丁寧にのぞくことが大切。ぐつぐつと5分沸騰させたら、火を止め、ビネガー(シェリー酒やシードル酒からできたものならベスト)を大さじ1杯加え、15分ほど放っておく。エイのヒレを、フライ返しを使って慎重に取り出し、グリルの上にでも置いて、水気をよく切っておく。
サラダ菜は、味のしっかりしたフリゼやロメーヌがいいだろう。冬ならアンディーブもいい。洗って水気をよく切ってからボウルにとる。エシャロットのみじん切り(エイの味を引き立てる)や粒々入りマスタードも加えたオリーブ油ベースのドレッシングを用意し、適量加えてよく混ぜ合わせる。その上に、繊維にそって手で裂くようにしながらほぐしたエイのヒレをのせ、ドレッシングを振りかければでき上がり。クルトン(下欄参照)も添えればもっと素晴らしい。ワインはムスカデのような辛口の白です。(真)
エイのヒレ600g、サラダ菜1玉、コショウ10粒、ローリエの葉1枚、タイム1枝、エシャロット1個、ビネガー、オリーブ油、塩、コショウ
●エイ raie
エイは頬肉も肝もうまいというけれど、魚屋にはaile de raieと呼ばれるヒレだけが並んでいる。調理する前に、ビネガー入りの水で丁寧に洗うとアンモニア臭が抜ける。エイの身はこわれやすく味も繊細なので、クール・ブイヨンで煮る時も、塩ゆでにする時も、冷たい時から入れ、ぐつぐつ沸騰させるのは控えたい。クールブイヨンで煮てから、ケッパー入りの焦がしバターをかけた一品は、ビストロの定番。
●クルトンの作り方
ブイヤベースとか今回のサラダとかにクルトンcroutonを添えると、パンのかりっとした歯ごたえ、ニンニクの香りが味を引き立ててくれる。バゲットパンあるいは少し小振りのフィセルを薄く輪切りにする。大きめのニンニクを二つに切って、パンの切り口にこすりつける。ニンニクの切り口にナイフで格子状の切れ目を入れておくと、香りがつきやすい。これを油できれいな色がつくまで揚げる。ボクは、カロリー過剰にならないように、ニンニクをこすりつけてからオリーブ油をさっと塗り、天板にきれいに並べてオーブンの上火で焼くことにしている。
●フリゼ chicorée frisée
芯は黄色みを帯びた白で、黄緑色のちぢれた葉を持つフリゼは、しゃきっとした歯ごたえ、軽い苦みがうれしいサラダ菜。葉が厚くてやはりかすかな苦みのあるスカロールscarole、赤紫色が美しいトレヴィーズtreviseや真っ白な紡錘形のアンディーブendiveと同じチコリの仲間に属する。
●ロメーヌ菜 romaine
ロメーヌはレタスと同じ仲間だが、形は細長くてあまり締まっていなく、葉は濃い緑色。レタスよりはしっかりとした風味とかすかな苦みがある。