4月22日大統領選第1回投票は84.6%という、1981年を上回る驚異的投票率を記録。2年前の郊外の暴動事件後、若者たちの参政権への意識の高まりが影響しているよう。 極左系候補者乱立による左派票拡散の恐れと、中道派フランス民主連合バイル候補の爆発的人気のなかで、極右ルペン候補が2002年第1回投票で2位に進出し社会党が決選から排除されたように、もしやロワイヤル候補も同じ運命に?という不安が左派層にあったのは事実。この二の舞を踏まないようにロワイヤル候補に「有効票を !」と社会党陣営の呼びかけが効いたのか、緑の党や小党候補の得票率が激減。 一方サルコジ前内相候補の右傾化戦略によるルペン支持票狩りが成功し、マルセイユなど極右支持地盤でルペン得票率が半減、高齢のルペン(79)最後の大統領選が惨敗に帰す。 バイル候補は前回得票率の3倍を獲得し、決選のカギを握る中道派にのし上がる。5月6日の決選はサルコジ、ロワイヤルとも中道票をどれほど取り込めるかが決め手になりそう。 サルコジ候補は「もっと稼ぐにはもっと働くべし」と購買力向上・失業対策を主張する。しかし「小児性愛や青少年の自殺には先天性要因が強い」という彼の先天性説や、昨年米大統領と会見しイラク侵攻に反対したフランスを「傲慢」と批判したり、キリスト教の精神的遺産を強調し政教分離制と宗教は相反しないなど、仏ネオコンの影が強い矛盾だらけの詭弁に、若者や左派層が反サルコジ感情を抱くのも否めない。が、従来の政治からの「断絶」を宣言したサルコジ候補のタフガイ的熱血漢体質が、極右・保守層にエネルギッシュな若い大統領(52)のイメージを焼きつけたよう。 一方ロワイヤル候補(53)が仏初の女性大統領に当選すれば、女性蔑視が根強い仏社会に真の男女平等革命をもたらすばかりか、中道派の動向によっては社会党の社民政党への脱皮も考えられるのでは。(君)
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4月23日付リベラシオン紙の一面。
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サルコジ 民衆運動連合 31.18%(前回シラク19.88%) ロワイヤル 社会党 25.87%(前回ジョスパン16.18%) バイル フランス民主連合 18.57%(前回 6.84%) ルペン 国民戦線 10.44%(前回16.86%) ブザンスノ革命的共産主義者同盟 4.13%(前回 4.08%) ドヴィリエ フランス運動 2.23%(95年 4.7%) ビュッフェ 共産党 1.93%(前回 3.37%) ヴォワネ 緑の党 1.57%(前回マメール5.25%) ラギエ 労働者の闘い1.33%(前回 5.72%) ボヴェ アルテルモンディアリスム運動1.32% ニウ 狩猟・釣・自然・伝統1.15%(前回サンジョス 4.23%) シヴァルディ 労働者党0.34%(前回グルクステン 0.47%) |