「第二次大戦中に連帯と勇気が何かを証明したフランス人に敬意を払わなければならない。〈正義の人々les Justes〉(下参照)はほんの一部でしかなく、多くの多くのフランス人がユダヤ人に救いの手を差し伸べた。フランスでのユダヤ人密告の例は少ない。戦後フランスのユダヤ人の3/4が生き延びることができたのは、そしてユダヤ人の子供たちの14%しか強制移送されなかったのは、フランスの状況が人道的に優れていたからだ」 1月18日、パンテオンのセレモニーに参列した〈フランスで強制移送されたユダヤ人の息子と娘〉協会セルジュ・クラルスフェルド会長のことば。 「私たちが受けてきた教育のおかげで、別に英雄ではない。当然の義務だと考えていたから、ユダヤ人たちをかくまってあげるかどうかで迷うことなどなかった」 |
|
||
第二次大戦中、強制収容所に移送される運命にあったユダヤ人多数を、大きなリスク覚悟でかくまったフランス人たちles Justes。その中で名前がわかっている2700人が、1月18日、パンテオン入り。シラク大統領主宰のもと、彼らを讃えるセレモニーが執り行われた。 | |||
|
|||
●ロワイヤル氏めぐり、議論沸騰 1月後半から大統領選の社会党候補ロワイヤル氏の公約に関する発言をめぐる議論が盛んだ。まずは、オランド第一書記が月収4000ユーロ以上の所得者層への増税の考えを明らかにしたところ、ロワイヤル氏が勤労意欲を削ぐ増税はしないと反論し、私生活のパートナーである両者の食い違いが露見。高所得者への増税措置について決定するのはロワイヤル氏、とオランド氏があわてて火消しに回った。また彼らのアパートを管理する会社を設立していることが節税対策であるとの批判に、両氏が資産額を公開する騒ぎも。ロワイヤル氏は年金制度や週労35時間制の見直し、カナダ・ケベック州の主権確立に賛成する発言をするなど、なにかと物議をかもしている。 ●大統領免責特権に関する改正法案、可決 国民議会は1月16日、大統領の免責特権に関する憲法改正案を民衆運動連合(UMP)と社会党議員の賛成多数で可決。この改正はシラク大統領再選の際の公約だった。現行の憲法では大統領は国家反逆罪でないと法的責任を問われないが、改正後は司法上の免責特権は維持しながらも、大統領の職務に反する犯罪が確定した場合には、国会での罷免手続きが可能になる。罷免には全議員の3分の2の賛成が必要。この法案は、2月中に上院と両院合同国会で審議され、可決されれば最終成立する。 ●合計特殊出生率2.0、欧州最高に 国立経済統計研究所(INSEE)が1月16日に発表したところによると、2007年1月時点でのフランスの人口は6340万人。また、一人の女性が一生に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は2.0で、欧州で最も高い数字であることが判明。2006年にフランスでは83万900人の子どもが生まれ、前年に比べて2.9%増、ちょっとしたベビーブームだ。06年生れの子の母親の平均年齢は29.8歳。欧州諸国の合計特殊出生率の平均は2005年度で1.52。北欧やアイルランドが高い反面、東欧諸国は低め。 |
●ピエール神父、死去 ホームレス支援団体〈エマウス〉の創立者、ピエール神父(本名アンリ・グルエス)が 1月22日、気管支炎のため入院していたパリのヴァル・ド・グラース病院で亡くなった。94歳。1950年にエマウスを創立し(現在、世界39カ国に350の支部)、寄付やリサイクル事業で得た資金で福祉住宅の建設に取り組み、ホームレスへの住居提供、居住権確立運動の先鋒として活躍してきた。国民に最も敬愛される人物の一人として、その死は多くの国民に衝撃を与え、シラク大統領のほか各界から哀悼の意が表明された。26日にノートルダム大聖堂で行われた国葬級追悼ミサには約3千人が出席した。 ●ジュベール、欧州チャンピオンに ワルシャワで開催されたフィギュアスケート欧州選手権大会で1月25日、フランスのブライアン・ジュベールが男子シングル部門で優勝。ショートプログラムで1位のトマシュ・ベルネル(チェコ)をおさえ、227.12点で2004年に次ぐ2度目の栄誉に輝いた。 ●社会党、サルコジ氏に内相辞任を求める ロワイヤル氏の環境問題顧問である元仏グリンピース代表、ブルーノ・ルベル氏と、ロワイヤル氏の弟、アントワーヌ・ロワイヤル氏の身辺を内務省の総合情報局(RG)が調査していたことが、1月24日付カナール・アンシェネ紙と26日付パリジャン紙でそれぞれ暴露された。これを受け、社会党は、サルコジ内相が大統領選を有利に運ぶための情報収集に国の機関を利用しているとして、内相の辞任をシラク大統領に要求。ルベル氏はプライバシーの侵害として訴えを起こす構えだ。サルコジ内相は2氏の調査を命じたことはないと否定している。 |