1996年公開の『L’ile des possibles』以来長編を発表していなかったパスカル・フェランの新作は、D.H.ロレンスの『チャタレイ夫人の恋人』を映画化したもの。第一次世界大戦での負傷により身体的な障害を負った夫に尽くす若い妻が、性そして愛へ心を開き、自分と周りの世界に目を向ける様子が、四季の中で移り行く自然のように優しくそして時には荒々しく、2時間半というゆったりした時間の中で見事に描きだされていく。フェランの演出はもちろん、加えて女の性に目覚め刻々と変化していくチャタレイ夫人役を初々しく演ずるマリナ・ハンズの存在が、この作品を観ることへの喜びに大きく寄与していることは間違いない。(海) | |