| bouche cousue « motus et bouche cousue » という表現の短縮形で、「黙っていてくれ(他言無用)!」と相手に秘密を絶対に守ってもらいたい時に使われる。 »bouche cousue(縫いつけられた口) »というイメージは実にわかりやすい。これでは打ち明けられたことを言いふらすのは不可能。でもどんな糸で縫いつけられたかははっきりしないから、その糸が絶対に切れないものでない限り、いつかはそれが切れて…。 |
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langue bien pendue « avoir la langue bien pendue(舌をダラリと下げる) » というのは、口が軽いとかおしゃべりであるという意味。14世紀には »avoir la langue affilée(舌が研ぎすまされている) »という言い回しだった。舌を使った表現は他にもいろいろとあるけれど、舌はもちろんコトバを象徴している。たとえば « avaler sa langue(舌をのみ込む) » は、無口な人のことをいい、秘密を守りたいのなら « tenir sa langue(舌を押さえつける) »のが一番だ。舌がこのイラストのように地面についてしまったら、のみ込むのも、押さえつけるのも困難。 »ne pas avoir la languedans sa poche(舌がポケットに入っていない) » という表現も « avoir la langue bien pendue »と同義だが、舌がこれだけ長かったらちょっとポケットには入り切れない。 |
| avoir des yeux dans le dos 背中が登場する言い回しもきりがない。 »avoir des yeux dans le dos(背中に目がある) »人というのは、背中を向けていても何一つ見逃さない人のことだ。そんな人に対しては « dans son dos(背中で=隠れて) »行動しても無意味だし、その人が »avoir le dos tournéi背中を向ける=遠ざかる、注意をそらす) »ことは期待できないし、結局は « l’avoir dans le dos(背中に回られる=しくじる、あてがはずれる) »ことになってしまう。最後のチャンスは、その人が « etre le dos au mur(壁を背にする=進退きわまる) » ことを待つことだ。 |
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| 「ねえ、ホカホカの情報を知ってるかい?」
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mon petit doigt m’a dit… « mon petit doigt m’a dit…(小指がなにか言っている) »という言い回しは、ふつう子供に向かって、隠してもダメ、みんな知っているよ、とほのめかす時に使う表現だ。 »petit doigt(小指) »は »auriculaire » ともいうが、 »auriculaire »は「耳の」という形容詞でもあるように、小指は耳と特別な関係にある。そう、耳かきとなじみがないフランス人は、小指を耳かきがわりにするからだ。プチ・ロベールも「auriculaireは小指(細いので耳の中に入れることができる)」と定義。そのついでにいくつかの秘密情報も耳の奥に滑りこませることができるのだ。ふつうこの言い回しは過去形で使うけれど、モリエールは『病は気から』の中で、アラゴンに現在形で使わせてこっけい感を高めている。「どういうわけか、小指がうなっている。(指を耳に入れる)なに、なに? ああ、そうだったのか!…小指が、あなたがなにかを見たのに、私には黙っていたと言っている」 |
| A vue de nez 何かを « A vue d’oeil(目に見えた限りで) » 判断するというのは、ほかに確かめようがないので、目に頼って判断するということ。 »A vue de nez » はその変形で、鼻は、嗅覚あるいは直感の意味で、目のかわりをつとめている。というわけで « A vue de nez(鼻に見えた限りで) » の判断は、おおよその判断という意味になる。ちなみに見方が極端に正確なことを意味する « avoir un compas dans l’oeil(目にコンパスがある) »という言い回しもあるが、コンパスが目の中にあったら痛くて何も見えないと思うけれど、フランス語は逆説だらけだ。 |
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