Pennes aux moules
わが家もパスタ一家。ボンゴレにはちょっと高価なアサリpalourdeが必要だけれど、いつでもどこでも安く手に入るムール貝がたっぷり入ったソースもおいしいものだ。パスタは、スパゲティのようなロングパスタより、フジッリやファルファッレのようなショートパスタを選びたい。ボクは表面に細い筋が入っていて、ソースが絡みやすいペンネ・リガーテにすることが多い。
セロリ、ニンジンは薄く小口切り、エシャロット、ニンニク、パセリはみじん切りにしておく。
ムール貝は少なくとも1キロから1キロ半はほしい。ひげを引き抜いてから、よく洗う。ボクは、手のひらに貝を7、8個とって殻と殻をこすり合わせるようにしながら汚れを落とす。大きなフライパンに白ワインをグラス 1杯加え、タイム、細かくしたローリエの葉を加え、ムール貝を重ならないように並べる。重なるようなら2回に分けて火を通す。最初は中火。沸騰したら、フタをして火を落とす。時々混ぜ合わせ、殻が開いたらすぐに取り出す。少し冷ましてから殻から出しておく。煮汁は後でおいしいソースにするので、漉しておこう。
フライパンを洗ってオリーブ油をとり、まずエシャロットを透明になるまで炒める。さらに、セロリ、ニンジン、ニンニクを加え、しばらく炒めたら、ソースにとろみをつけるために小麦粉を大さじ1杯ほどまぶして混ぜ合わせ、煮汁とレモン半個分の搾り汁を加え、それがぐつぐついってきたらムール貝を入れる。クリーミーな風味にしたい人は生クリームを大さじ2杯ほど加えよう。ムール貝の臭みが気になる人はカレー粉少々を足すのが決め手。最後に塩、コショウで味を調えるのだが、パスタにすでに塩味がついているので、控えめに。
弾力が残るようにゆで上げたパスタを皿にとり、ムール貝のソースをかけ、きざんだパセリを散らし、おろしたパルメザンチーズを添える。ワインは辛口のブルゴーニュ産のアリゴテはどうだろう。(真)
ムール貝1kg~1.5kg、パスタ400g、エシャロット2、3個、ニンジン1本、セロリ1本、ニンニク2片、パセリ少々、白ワイングラス1杯、塩、コショウ、オリーブ油、小麦粉
●パスタさまざま pâtes
スーパーに行くと、さまざまな形、さまざまなメーカーの乾燥パスタが並んでいる。友人のファビオ君は、「メーカーなら、〈De Cecco〉が一番だ。〈Barilla〉も、きちんと弾力があって悪くない」という。ロングパスタには、スパゲティ、細めのスパゲティーニ、太めのリングイーネ、きしめんのようなタリアテッレなどがある。ボクは〈Barilla〉のN。5を愛用している。
ショートパスタには、ペン先のように斜めに切られた筒状のペンネ、蝶の形をしたファルファッレ、貝殻形のコンキリエ、螺旋状のフジッリ、車輪形のルオーテなどがある。
パスタがメインなら、お腹の空き具合によるけれど、一人100g前後。400gゆでるのなら、大きな鍋に水3リットルと塩を大さじ3杯を入れる。塩を加えるのは、パスタに軽く塩味をつけ、パスタ自体を引き締めてくれるから。油を加える人もいるが強いて必要ない。ゆで時間は、パスタの質、形、太さ次第。パッケージにゆで時間が明記されているけれど、それを参考にしながら試食するのが一番だ。少し歯に当たるくらいにかすかに芯が残っているアルデンテ状態にゆで上げる。皿に盛り付けてテーブルに出すまでも、余熱でゆで加減が進行するから、食べる時にはふっくら弾力がある状態になっているだろう。食べる時にも芯が残っているようではうまくない、と思う。パスタがくっつきそうな場合は、上質のオリーブ油を加えて混ぜ合わせておく。
パスタさえおいしいなら、ボクはやっぱりアーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ。ちょっと細めのスパゲティをゆでている間に、ソースの準備。フライパンにオリーブ油を一人分として大さじ2、3杯とり、みじんに切ったニンニク、小口切りにした唐辛子1本を加え、うま味と辛みを引き出し、そこにゆで上がったスパゲッティを加えて混ぜ合わ、塩少々を加えて味を調え、細かなみじんに切ったパセリを散らすだけだ。
●parmesan
パスタに欠かせないのがイタリア産のパルメザンチーズParmigianoreggiano。おろされて袋入りで売られているものは、ほとんどが偽パルメザン。たまには、立派なチーズ屋さんかイタリア食品店で、きちんと熟成が進んで、アルミ酸の粒が歯にしゃりっと当たるようなパルメザンを買ってきたい。キロ25ユーロ以上はするけれど、その甲斐あり。熱々のパスタの上でおろしかけるとうまさが数倍違う。このパルミジャーノ・レッジャーノと親戚のグラナ・パダーノGrana Padanoもうまい。