黒人であり、フランス人であり。

●Noir et francais !
 1998年、サッカーのW杯でフランス代表が優勝した時、チュラム、バルテーズ、ジダンといったとそれぞれ肌の色の違う選手の団結がもたらした勝利は、〈black-blanc-beur〉と、そのままフランス社会の人種の多様性がもたらした勝利のごとく謳われた。ところが、2005年のさまざまなできごとは、それが神話でしかなかったことをまざまざと見せつけてくれた。2月には「植民地主義の積極的役割」を教育でとりあげるべきだという法案が国民議会で可決され、アンティーユなどの海外県、マグレブや西アフリカの住民たちの怒りをかう。4月と8月には、パリのホテルや老朽化した建物が炎上しアフリカ人40人が焼死する。10月末には、日ごろ、肌の色が違うだけで警察のチェックを受け、就職の際にも差別されているマグレブやアフリカ移民の2世たちが、フランス社会は〈white-white-white〉でしかないと、大都市郊外で暴動を繰り返す。
 著者の一人スティーヴン・スミスは、リベラシオン紙、ルモンド紙の特派員として、西欧のポスト植民地主義が、アフリカに引き続き戦争と飢饉を招いている「アフリカ人抜きのアフリカ」を報道してきた優れたジャーナリスト。もう一人のジェラルディーヌ・ファエスは黒人の若者文化を追ってきた。その二人が、植民地以来の歴史をカバーし、2007年の大統領選を視界に入れながら、フランスの黒人たちの現状を検証した一冊だ。
 人種差別反対運動の元リーダー、ステファン・ポクランは、「黒人の問題」は存在せず、人種の多様性を受け入れようとしない「白人の問題」があるだけだという。その「白人の問題」を社会的、政治的に解決しない限り、フランスの黒人たちは現状に絶望し、黒人だけのコミュニティーに閉じこもり、彼ら自身、人種の多様性を拒否することになるのでは、という警鐘が、この一冊全体に鳴り響いている。(真)
Geraldine Faes &
Stephen Smith
Panama, 2006,
445p, 20 euros