12月、クリスマスシーズンということで今回は2冊紹介しよう。(樫) ●Nina Bouraoui “Mes mauvaises pensees” 本年度ルノドー賞受賞の本作は、ニナ・ブラウイの第9作。彼女は現代フランス文学の代表的女流作家といってもよい。300ページ近いこの小説、なんとパラグラフはたったの一つ。びっしりつまった文字をみると、一瞬たじろいでしまいそうだが、文章自体はそんなに難しくない。というのも、語りは心理カウンセラーに打ち明けるように、日常の言葉、心から出る言葉でつづられているから。さらに、自由間接話法とか、ややこしい文法・文体もなく、ほとんどが現在形で語られる。語られるのは、フランスとアルジェリア、母と父、「彼女」のことなどなど。作家がアルジェリア人の父をもっていること、レズビアンであることからも、ブラウイの「色」がうかがえるだろうが、彼女の作品からひしひしと感じられるのは、なによりもまず、現代フランス女性の感覚と現代フランスの女的感覚だ。 ●L.Bourgine (texte) /B.Arnold (photos) |
Stock, 288p., 18 euros.
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