OVNI 577 : 2005/11/15

「皆さん、こんな社会のクズ(la racaille)はいらないでしょ? 私たちが始末してあげます」
10月25日、サルコジ内務相はパリ郊外アルジャントゥイユ市にある団地を訪問したが、若者たちからヤジられたり、プラスチックの瓶を投げられたりした。そんな光景を窓から見ていた住民たちに向かってのサルコジ内務相の発言。この “racaille”というコトバは、あまりにも侮蔑的な表現で若者たちの実態に無神経、と左派などから強く批判された。このひと言が今度の暴動騒ぎの一因ではとみる人もいる。

「下品なコトバを使ったからといって、団地の現状が変わるわけではない。政府は若者たちが本当に望んでいるものは何か、に耳を傾けるべき」
同団地の母親の一人。
パリなど大都市の郊外で広がっている暴動を扱った大きな写真が連日のようにフランスの各日刊紙の表紙に登場している。

142 647人

パリはさすが観光都市。観光局、レストラン、カフェなどで観光に関連した仕事に就いている人は14万2647人。フランス全体の14.6%を占めている。

20万人

イル・ド・フランスに住んでいるイスラム教徒は約200万人。パリには20万人が住み、そのうちの4万人は熱心な信者だが、パリ市にはモスクが9カ所にしかなく、ラマダンの大切な祈りの時には通りにまで信者が溢れ出す。

528人

パリ市内に住んでいる100歳以上のお年寄りはなんと528人(5分の4が女性)。最高齢者は108歳。パリ市の平均寿命は女性が83歳、男性が76.3歳。

12%

11月1日からガス代が12%値上がりした。この5年間で最大の値上げ率になる。消費者の反発を恐れてか、ガス公社GDFは来年の3月末まで基本料金を一時的に値下げするので、実質的には平均3.8%の値上げに。

暴動を扱った大きな写真が

●仏南西部、ミンチ肉で食中毒
 10月末から11月初めにかけて仏南西部で牛ミンチ肉による食中毒が発生。およそ20人が胃腸炎、下血などを伴う重い症状を訴え入院した。原因はハイパーマーケット、ルクレールが販売する〈シャントグリル〉商標の冷凍牛ミンチ肉と判明。このミンチ肉が販売された南仏・南西部の19県では、同社が11月1日現在で95%の購入者に連絡済み。約13000パックの肉を回収する。
●ポンセ将軍ら、懲戒処分に
 アリオ=マリー国防相は11月2日、コートジボワールでの仏軍による治安回復作戦展開中の5月に仏軍兵士が同地の男性を殺害した件に関して、同作戦を指揮したアンリ・ポンセ将軍とルノー・ド・マロセーヌ将軍の指揮権を剥奪して格下げする懲戒処分を決めたと発表した。軍の調査によって、幹線道で強盗を働いていたとされるフィルミン・マエさんを拘束し、装甲車の中で窒息死させていたことが判明。軍は事件当時、マエさんが仏軍に発砲したため射殺したと虚偽の発表をしていた。
●社会保障予算法案を可決
 国民議会は11月2日、2006年度の社会保障予算法案を与党、民衆運動連合(UMP)の賛成多数で可決した。同じ与党の仏民主連合(UDF)は左派野党政党とともに反対票を投じた。この法案は、社会保障制度の赤字を89億ユーロ削減することを目指すもので、高額(91ユーロ以上)の医療行為に対して18ユーロの患者による定額負担の導入を盛り込んでいる。
●ゴンクール賞にヴェイェルガンス氏
 11月3日、フランスで最も権威のある文学賞であるゴンクール賞はフランソワ・ヴェイェルガンス氏の『Trois jours chez ma mere』(グラセ社)に。同日発表されたルノドー賞はニナ・ブラウイ氏の『Mes mauvaises pensees』(ストック社)。また、メディシス賞にはベルギーのジャン=フィリップ・トゥーサン氏の『Fuir』、フェミナ賞はレジス・ジョフレ氏の『Asile de fous』。
●マルセイユ市交通のスト一旦終結
 10月4日からバスとメトロのストで交通が麻痺していたマルセイユで、同地の大審裁判所は11月4日、マルセイユ交通公社(RTM)労組のストはRTMの労働者に直接関係しない要求を掲げており、違法であるとの判断を下した。これを受けて、労組側は一旦ストを中断することを決め、5日から運行を再開。このストは2007年に予定されているトラムウェイ運行に伴う民間企業の参入案の撤回を求めて33日間続いていた。
●パリ郊外の暴動、全国に広がる

 ドヴィルパン首相は11月7日、10月末にパリ市郊外から始まって全国に拡大した若者の暴動を鎮圧するために、必要な市では知事が夜間外出禁止令を発令することができる措置を取ると発表した。10月27日、パリの北郊外のクリシー・ス・ボア市で警察に追われた若者2人がEDFの変圧施設に逃げ込んで感電死した事故をきっかけに始まった若者の暴動は、パリ郊外の各市からまたたく間に全国に拡大。モスクへの警察による催涙弾攻撃、サルコジ内相の強硬発言が、高失業率や人種差別に苦しむイスラム系移民地域の若者の不満を爆発させ、車やバス、警察署・学校などの公共施設への放火、破壊活動がエスカレートした。全国各地での暴動は毎夜続き、一晩で最高約1500台の車が焼失、数百人に上る逮捕者が出た。