数年後には中国産が世界を制覇 ?

 今年1月から3月まで中国からEUに輸出された繊維類は昨年同時期に比べ、くつ下184%、シャツ186%、Tシャツ187%、男ものスラックス413%、セーター534%、靴は681%増と中国産の大洪水。米国も中国産スラックスだけでこの3カ月で昨年比1500%、15倍の量が流れ込んでいる。米政府は急きょ5月12日、7品目に対し緊急輸入制限(セーフガード)を発動し、中国の薄煕来商務相から「一方的」と強い反発を買っており、米中貿易摩擦へと険悪化。
 フランスの繊維業界でも破産が急増、1月以降2万5000人を解雇。これに動転したシラク大統領は直ちにEU委員会に緊急輸入制限(年増加率を7.5%に制限)を要請したが、中国産のツナミはすでに全世界に及んでおり応急措置では間に合わない状況に。世界貿易機関WTOが01年、中国の加盟時に設けた繊維類の輸入枠が05年1月に全面撤廃されたため中国産がせきを切って流れ込んでいる。しかし94年からアジアからの輸入制限が徐々に緩和されていた。その間、中国は繊維、家電、ハイテク分野と下請け産業から高度産業国に脱皮していたのである。自国で製造しないのはTGVと飛行機くらい。薄商務相も「エアバスを1機買うには中国は800億枚のシャツを輸出する必要がある」となかなか計算高い。
 この10数年来、H&MやC&A、ZARA、Marks&Spencerなど世界中のプレタからハイパーの衣料品まで、より安い人件費を求めてトルコ、マグレブ・東欧諸国、パキスタン、バングラデッシュ、東南アジアへとグローバル化が進んだ。最後にさらに人件費(月給約60euros)の安い中国にたどりつき、欧米資本と中国式資本主義が結託、21世紀世界産業構造ができつつあるようだ。
 中国産猛威の要因のもう一つは人民元安(94年以来1ドル= 8.28元前後)だ。02年以来ユーロ対ドル46%安で、元も下がり中国からの輸出量は増大するばかり。欧米諸国から元切り上げの要求が高まっており、中国製品のダンピングは政治問題化していきそう。
 6月11日、マンデルソンEU委貿易委員は上海で中国商務相との交渉で、特に輸出量の多い10品目に対し輸出増加率を08年まで8~12%に制限することに合意。欧米の繊維業と上記の発展途上国の工員に3年の猶予が与えられたわけである。しかし3年後は ?
 10数年前、現在の欧米と同様に中国産繊維に圧倒された日本は繊維業を中国に手放し、ハイテクの新鋭化に徹し中国をパートナー化することに成功した。いま中国産に慌てるようでは欧米の中国脅威論は遅きに失する?(君)



D i c o

grande surface
(グランド・シュルファス 女性名詞)

 食品、日常用品、衣類、家電などあらゆる商品を揃えた〈カルフール〉や〈オーシャン〉など、巨大な規模のスーパーマーケットがハイパーマーケットhypermarché。車で行くことが前提になるので広い駐車場を備え、ほとんどが大都市の郊外に位置する。1963年、パリ郊外サントジュヌヴィエーヴ・デ・ボワに最初のハイパー〈カルフール〉がオープンした。フランス全国で1000店以上あるとされ、8000店以上あるスーパーマーケットsupermarché(主に都市内)と合わせてgrandes surfacesとも呼ばれる。2001年を例にとると、フランス人が消費する食品の66%が、このgrandes surfacesで購入されている。(真)