スガン島のまぼろしの現代アートセンター。

 ブローニュ・ビアンクール市のスガン島元ルノー工場跡の都市計画が二転三転するなかで2000年、流星のごとく現れたのがフランス屈指の億万長者、フランソワ・ピノー(69)構想の現代アートセンター設立案だった。ピノー・グループはプランタン、グッチ、サンローラン、ルドゥット、フナックなどの株を40%以上にぎるフランスの現代版財閥だ。

 ピノー氏は、2500点におよぶ1960年代以降のコレクション(ジェフ・クーンをはじめ世界的作家の作品)を公開するため、スガン島の1/3にあたる3.2ヘクタールの突端部分に、安藤忠雄設計のガラス張りの現代アートセンターの建設を市に提示した。
 私設美術館と一線を画する仏文化庁は、個人の文化的イニシアティブを税金逃れくらいにしかとらず、国としてスガン島計画から早々に手を引く。ピノー氏は、そりの合わないフルカード市長との同舟の居心地の悪さに加え、昨年以来環境保護3団体による同島の過密化都市計画に反対する訴訟(4月末に取り下げられた)が重なり、同センターの実現予定は、2005年でなく2010年以降という気の遠くなるお役所仕事の牛歩、鈍重さについに堪忍袋の緒が切れる。
 5月9日、ピノー氏はスガン島の現代アートセンター設立計画を断念すると発表。翌日ルモンド紙で「事業家にとっての時間とは、生存中の、その時代の夢を実現するまでの待望の時間だ。…アートは永遠だが、そのために費やされる時間には限りがある」と表明。そしてベニスの水面に映えるPalazzo Grassi(フィアットのショールーム。ピノー財団が2900万ユーロで購入)にコレクションを移すと発表。ピノー氏の気持ちは分らないでもない。構想から設計…と、まぼろしの現代アートセンターのために彼は5年と2000万ユーロをすでに費やしているのだ。
 が、ピノー財団がスガン島を諦める背景にちらつくのは、15年来米国で争われてきたピノー・グループの持株会社Art士isによるエグゼキューティブ・ライフ米保険会社買収疑惑(クレディ・リヨネ銀行も関係)だ。5月10日、ロサンゼルス裁判所の陪審団はピノー氏に対し無実の判決を下したが、彼の息子フランソワ=アンリが経営するArt士is社には、被保険者33万人のぼう大な損害賠償要求の民事訴訟が残っているのである。
 ピノー財団の資金繰りのうえでスガン島での1億5000万ユーロの美術館建設費に比べ Palazzo Grassi のほうが安上がりだったのではと勘ぐる向きも。それにしても国立美術館に60年代以後のコレクションが皆無といっていいフランスにとって、ピノー・コレクションを取り逃がしたことは、美術の都パリの将来性にも響きかねない大きな損失だったのでは。後悔先に立たず。(君)

2005年5月23日撮影(君)


D i c o

famille monoparentale
(ファミーユ・モノパランタル)

 6月19日は父の日Fête des Pères(母の日はFête des Mères)だが、離婚、別居などで片親だけしかいない家庭familles monoparentalesは全家庭の7.2%で、約200万世帯。そのうちの85%が父親のいない家庭だから、子供たちがプレゼントをあげるのもなかなか大変だ。こうした家庭の母親は失業している率も高い。片親家庭は、1990年には115万世帯だったが、この数年急増している。やはり最近目立っているのはfamilles recomposées。これまで片親家庭だったのが、母親あるいは父親が再婚したり、あるいは新しい恋人と同居し始めたりして、新構成になった家庭を指す表現だ。(真)


 

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