〈能オペラ〉という新しいジャンルのスペクタクルが、日本人のソプラノ歌手によって企画された。日本でオペラ歌手として活躍していた真島敦子さん。フランスでもいくつもの舞台に出演し、モリエール劇場で、自作の “No Opera N。1” を2003年に発表した。その後3シリーズを上演し、好評を得ている。 「日本とフランスの間にかかる虹のような作品を作りたい」と思い、活動を続けている。今回上映の『Aventures erotiques et mysterieuses de la princesse Lierre』は、能楽の「定家」をもとに再構成した創作音楽劇。主人公の「蔦姫」は「フランスの詩歌、歌曲を母に、日本の詩歌、歌曲を父に、その間に生まれた一輪の花」。ヴェルレーヌ、アポリネール、西行、芭蕉、寺山修司、日仏の時代の異なる詩人の作品や山田耕筰、ドビュッシーらの曲で再編成されている。 真島さん演じる蔦姫、マルク=アントワーヌ・パンジョンのピアノとダニエル・リフェルマンが奏でる尺八。時代を越え、国境をこえた虹色の能オペラが楽しめそうだ。(尚) 22日~26日/20h30 20e/15e (25歳以下、60歳以上)。 Kiron Espace : 10 rue la Vacquerie 11e 01.4464.1150 www.kiron-espace.com ●ジョンソン・沖・スミス |
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●Bartok “Piano concertos” (DG) ベラ・バルトークは、3曲のピアノ協奏曲を書いた。それぞれをクリスティアン・ツィマーマン、ライフ・オーヴェ・アンスネス、エレーヌ・グリモーといった現代を代表する3人のピアニストが弾き、そしてバルトークを得意とするピエール・ブーレーズが、曲によってオーケストラも変えながら指揮している。 第1番(1927年作)では、ツィマーマンのダイナミックで切れ味鋭いピアノが圧倒的。金管と打楽器を中心にした大胆なリズムやハーモニーと真剣勝負。難曲中の難曲にもかかわらず、肉体的ともいえる快感に酔うことができる。アンスネスがオーケストラの内側から弾いているような均整のとれた第2番(1933年作)も捨てがたいが、第3番(1945年)を弾くエレーヌ・グリモーが素晴らしい。柔らかく表情豊かでいながらしっかりとした芯を持った美しい音で、死を直前にしながら、それをひしっと見据えているバルトークの心情に迫っている。脱帽。 ●Burning Spear “Studio 1” アイルランドレコードに移籍して 『ソーシャル・リビング』などの傑作を出す前、バーニング・スピアがジャマイカのスタジオワンレーベルに録音した18曲が入っている。レゲエの名盤中の名盤になるだろう。深いベースサウンド、リズムギターやハイハットの切れ味、そこから呪術的なボーカルが舞い立つ。(真) |
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